問 題
第二次世界大戦後の我が国の経済史に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1:1960年代を通して個人消費や設備投資などの内需が低迷したことから我が国の企業は需要を海外に求めて輸出を伸ばした。その結果大幅な貿易黒字が発生し自動車や半導体をめぐる貿易摩擦が欧米諸国との間で深刻化した。
2:1970年代前半に策定された「国民所得倍増計画」では完全雇用を維持しつつ10年間に実質国民所得を2倍にするという目標が設定された。このため我が国の経済は景気過熱とインフレーションが共存する「スタグフレーション」に直面した。
3:1980年代前半のニクソンショックにより円安ドル高が進展し民間設備投資ブームが生じたため景気拡張の期間が57か月に及ぶ大型景気が到来した。この景気は巨額の税収をもたらしたことから1980年代半ばには赤字国債の残高はゼロになった。
4:1980年代後半には低金利政策などによって生じた余剰資金が株式や土地購入などへの投機に向かったため株価や不動産価格などの資産価格は高騰した。一方この時期卸売物価消費者物価は資産価格のような大きな変化はなかった。
5:1990年代初頭政府は我が国の経済を「ゆるやかなデフレにある」と認定しデフレ脱却のための各種措置を講じた。その一環として実施された量的緩和政策は積極的な財政支出により有効需要を刺激しようとするものであった。
解 説
選択肢 1 ですが、1960年代は、高度経済成長の時代です。内需拡大を背景に好景気です。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが、「国民所得倍増計画」は、1960年の池田内閣によるものです。よって、選択肢 2 は誤りです。ちなみに、スタグフレーションがおきた年代としては、1970 年代半ばで適切です。
選択肢 3 ですが、ニクソンショック は 1971 年です。これによりドルの価値が「下落」しました。円高ドル安が進展です。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は、妥当な記述です。いわゆるバブルです。
選択肢 5 ですが「ゆるやかなデフレ」宣言は、 2009 年末の話です。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 4 です。
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