公務員試験 H24年 国家一般職(教養) No.38解説

 問 題     

我が国の三権分立に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1:国会の機関として設けられる弾劾裁判所の弾劾裁判で罷免の宣告がなされた裁判官は職を失う。司法権の独立の観点から弾劾裁判所及び罷免の裁判を求める裁判官訴追委員会は国会議員ではなく現職の裁判官で構成される。

2:違憲立法審査権は最高裁判所にはあるが下級裁判所にはない。またその対象は国会の制定する法律に限られ行政機関の命令・規則行政処分については対象とならないと解されている。

3:最高裁判所の長たる裁判官は内閣の指名に基づいて天皇が任命し最高裁判所のその他の裁判官は内閣が任命する。また下級裁判所の裁判官は最高裁判所の指名した者の名簿によって内閣が任命する。

4:内閣は内閣不信任案が可決又は信任案が否決された場合のみ衆議院を解散することができる。内閣は衆議院を解散した場合解散の日に総辞職しなければならずまた解散の日から40日以内に総選挙が行われ総選挙の日から30日以内に臨時国会が召集される。

5:国会は国会議員の中から内閣の長たる内閣総理大臣を指名する。この指名について両議院の議決が異なる場合に両院協議会を開いても意見が一致しないときは改めて他の国会議員の中から指名しなければならない。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが、弾劾裁判は、国会(=国民の代表)による弾劾なので、両議院の議員で構成されます。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが、憲法 81 条は、最高裁=違憲審査権を有する「終審裁判所」であることを明らかにしている規定です。下級裁判所も当然に違憲立法審査権を有します。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は、正しい記述です。指名権、任命権について確実に覚えておきましょう。

選択肢 4 ですが、記述のように「解散の日に総辞職」にしてしまうと、内閣不在の空白時期ができてしまい問題です。解散→総選挙→選挙から30日以内に「特別国会」が招集され、この時(旧)内閣は総辞職です。よって選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが、内閣総理大臣の指名は、衆議院の優越事項の1つです。従って、意見が一致しない場合は、衆議院の議決によります。

以上より、正解は 3 です。

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