公務員試験 H24年 国家一般職(教養) No.30解説

 問 題     

我が国のエネルギー事情に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1:2011年夏一部地域において石油危機以来の電力使用制限令が発動された。石油危機時の使用制限はピーク時の使用電力(キロワット)を過去の実績の一定割合にとどめるというものであったが、昨年のそれは、大口需要者に対して制限期間中の使用電力量(キロワット時)の総量を、前年同期の20% 減とするというものであった。

2:エタノールはエタン(C2H6)の水素原子一つが、カルボキシル基(-COOH)で置換された物質であり、バイオエタノールは植物由来の資源からエタノールを抽出したものである。エタノールは自動車ガソリンとの代替性が高く一部地域においてガソリンに50% バイオエタノールを混ぜた燃料を使用した公共バスが運行されている。

3:我が国の発電電力量の合計に占める原子力による発電電力量の比率は、2008年で約5割となっており、これは日米仏独英の5か国の中で最も高い割合である。二酸化炭素排出の削減のためこの比率を7割まで高めることが従来の政府目標であったが、東日本大震災での原子力発電所の事故を受けてこれについて見直しが進められている。

4:近年ガソリンをまったく使わない燃料電池車が開発され、国内の主要自動車メーカーでも、2010年度から量産車の製造・販売が行われている。使用する燃料電池では、水素と酸素を反応させて水を生成する際に発生する熱エネルギーを利用しており、二酸化炭素を排出しない自動車として注目されているが、窒素酸化物の排出が多くなる点が難点とされる。

5:2011年の通常国会において「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」が成立した。これは太陽光風力水力地熱等を用いて発電された電気を電気事業者が一定の期間一定の価格で買い取ることを義務づけるものであり買取りに要した費用は原則として賦課金という形で電気利用者が負担する。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが、電力量の「総量」を「20%減」ではなく、「最大電力」を「15%」削減するよう求めるというものでした。ニュースなどでよく報道されていたのを思い出せると、どちらかで違和感を持つことができたのではないでしょうか。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが、カルボキシル基ではなく、ヒドロキシル基(ーOH)です。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが、我が国の原子力発電の割合は震災前で 30%強です。また、仏が原子力依存度が高く 75% 強です。どちらかを知っていれば誤りと判断できる選択肢です。

選択肢 4 ですが、燃料電池車の現状における課題点は、燃費や水素ステーションのみ整備です。 窒素酸化物(NOx)の排出が多いという点ではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は、正しい記述です。

以上より、正解は 5 です。

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