問 題
第二次世界大戦以降の我が国の経済に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)が行った農地改革では,自作農を抑制し,地主・小作関係に基づく寄生地主制が採られた。一方,労働改革については民主化が期待されていたが,財閥の反対により労働基準法を含む労働三法の制定は1950 年代初めまで行われなかった。
2.経済復興のために傾斜生産方式が採用された結果,通貨量の増加によるインフレーションが生じた。GHQ は,シャウプ勧告に基づき間接税を中心に据える税制改革等を行ったものの,インフレーションは収束せず,朝鮮戦争後も我が国の経済は不況から脱出することができなかった。
3.我が国は,1955 年頃から,神武景気,岩戸景気等の好景気を経験したが,輸入の増加による国際収支の悪化が景気持続の障壁となっており,これは国際収支の天井と呼ばれた。また,高度経済成長期の1960 年代半ばに,我が国は経済協力開発機構(OECD)に加盟した。
4.1973 年の第1 次石油危機は我が国の経済に不況をもたらしたため,翌年には経済成長率が戦後初めてマイナスとなった。また,第2 次石油危機に際しても省エネルギー技術の開発が進まず,国際競争力で後れを取ったため,貿易赤字が大幅に拡大していった。
5.1980 年代末のバブル景気の後,1990 年代には,政府の地価抑制政策などをきっかけに,長期にわたり資産価格や消費者物価の大幅な上昇が見られるとともに,景気の停滞に見舞われた。1990 年代の企業は,金融機関からの融資条件の緩和を背景に積極的に人材雇用を行ったため,失業率は低下傾向で推移した。
解 説
選択肢 1 ですが
GHQ が行った農地改革では「自作農創設特別措置法」が定められ、農地を国が買収し、小作人に安く売却されました。「自作農を抑制し」という記述が明らかに誤りです。また、労働三法は 1945~47年に制定されています。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
シャウプ勧告の内容は、地方税の独立や「直接税中心主義」です。「間接税を中心に」ではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当な記述です。
選択肢 4 ですが
第2次石油危機に関しては、第1次石油危機から学習し、影響は軽微で済んだと評価されています。「国際競争力で後れを取り、貿易赤字が大幅に拡大した」という記述は表現が過剰と考えられます。よって、選択肢 4 は妥当ではありません。
選択肢 5 ですが
バブル景気の後の話なので「資産価格や消費者物価」は「上昇」でなく「下落」です。また、失業率は「増加傾向で推移」です。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 3 です。
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