問 題
古代ギリシャの思想家に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1．ピタゴラスを創始者とするストア派の人々は，自然全体は欲望の支配する世界であり，人間はその一部として自然によって欲望の情念（パトス）が与えられていると考えた。その上で，欲望の情念を克服し，理性を獲得する禁欲主義を説き，自然から隠れて生きることを主張した。
2．ソクラテスは，肉体や財産，地位などは自分の付属物にすぎず，真の自分は魂（プシュケー）であると主張した。また，人間が善や正を知れば，それを知る魂そのものがよくなって魂の優れた在り方である徳（アレテー）が実現し，よい行いや正しい行いを実行すると考えた。
3．プラトンは，物事全般について本質を問題にし，具体的な個々の事物に内在し，それらの本質となる普遍的なものを知ることこそが，徳であると考えた。そのような普遍的なものをイデアと呼び，惑わされやすい理性ではなく，感覚によってイデアは捉えられるとした。
4．アリストテレスは，プラトンの思想を批判し，優れた理性で捉えられる具体的な個々の事物こそが実在であり，本質は個々の事物から独立して存在すると主張した。そのような本質を認識し，魂の本来の在り方を現実化できる哲学者による哲人政治を理想とした。
5．エピクロスは，人間は本来快楽を追求する存在であり，肉体的快楽を追求することによって精神的不安や苦痛が取り除かれ，真の快楽がもたらされると考えた。このような思想は功利主義と呼ばれ，エピクロスは，自然に従って生きることを説いた。
解 説
選択肢 1 ですが
ストア派の創始者は「ゼノン」です。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は、妥当な記述です。
選択肢 3 ですが
「感覚で捉えているものは、イデアと似ているだけのもの」という考えです。従って、普遍的イデアは、「感覚によって捉える」ことはできません。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
「哲人政治」は「プラトン」の目指したものです。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
エピクロスは「快楽主義」です。功利主義ではありません。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2 です。
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