公務員試験 H28年 国家専門職(食品衛生監視員) No.4毒性学Ⅱ(1)解説

 問 題     

化学物質の毒性評価に関する次の記述の Ⓐ~Ⓘ に当てはまるものを語群から選び出し、それぞれの番号を記せ。

「動物に対して有害化学物質の投与量を下げていくと、物質ごとに有害作用を示さなくなる閾値がある。この用量をⒶ という。

ヒトがⒷ を通して毎日摂取し続けたとしても有害性は認められないと想定される一日当たりの摂取量を一日摂取許容量(ADI)といい、Ⓒ 当たりの量で示す。ADI は、動物実験によって得られたⒶ を、一般的に、Ⓓ を考慮して10、ヒトのⒺ を考慮して10、この二つの値を乗じて得られたⒻ 100 で除して算出する。残留農薬などのⒼ を設定する際には、ADI を超えないように設定する。

一方、有害化学物質のうち発がん性物質については、閾値がⒽ と考えられている。このような物質に対しては、ADI に代わる指標として、 Ⓘ が用いられる。」

<語群>①無毒性量、②最大無作用量、③最小作用量、④急性参照用量、⑤実質安全量、⑥半数効果量、⑦半数致死量、⑧半数阻害量、⑨推定曝露量、⑩基準値、⑪信頼性係数、⑫安全係数、⑬一週間、⑭一年、⑮一生涯、⑯種差、⑰性差、⑱個体差、⑲食習慣の差、⑳体重1 kg、㉑ 体表面積 1 cm2、㉒ ある、 ㉓ない、 ㉔極めて大きい、 ㉕極めて小さい

 

 

 

 

 

 解 説     

ADI = NOAEL(無毒性量)÷ 安全係数です。安全係数は、種差を考慮して 10、個人差を考慮して 10 を乗じた 100 が一般的に用いられます。

発がん性物質については、閾値が無いと考えられているため、NOAEL が 0 になってしまいそうするとADIも0になってしまいます。そこで、ADIに変わる指標として、VSD(virtually safe dose:実質安全量) が用いられます。

VSDは、10 万分の 1 あるいは 100 万分の 1 というような低い確率でがんを増加させる用量で、通常の生活 で遭遇する稀なリスクと同程度の非常に低い確率となるような暴露量と解釈される量のことです。

以上より
A 無毒性量 ①
B 一生涯 ⑮
C 体重 1kg ⑳
D 種差 ⑯
E 個体差 ⑱
F 安全係数 ⑫
G 基準値 ⑩
H ない ㉓
I 実質安全量 ⑤ です。

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