公務員試験 H28年 国家専門職(食品衛生監視員) No.4毒性学Ⅰ(3)解説

 問 題     

薬物動態に関する記述 ①~⑤ について,妥当なものには ○ を,妥当でないものには × をそれぞれ記せ。

① グルクロン酸や硫酸が結合した薬物の抱合体は,元の薬物よりも極性が高く,体外に排泄されやすい。

② 輸送担体(トランスポーター)による能動輸送は,ATP のエネルギーやイオンの電気化学的ポテンシャルを利用して行われる。

③ 主に肝臓のミクロソーム画分に存在する薬物代謝型のシトクロムP450 は,一原子酸素添加反応を行う酵素であり,基質特異性が高い。

④ 硫酸抱合は,主に細胞質に局在する硫酸転移酵素により,補酵素である活性硫酸の存在下で行われる。

⑤ 体内に吸収された異物は主に腎臓及び肝臓から尿,胆汁に排泄されるが,乳,毛髪,爪,唾液及び呼気なども排泄経路となる。

 

 

 

 

 

 解 説     

①、②は、妥当な記述です。

②について捕捉ですが、ATPを直接使って、濃度差に逆らって物質輸送を行う場合、一次性能動輸送と呼びます。まずATPを使って、電気化学的ポテンシャルを作り、電気化学的勾配を利用して、濃度差に逆らって物質輸送をする場合、二次性能動輸送と呼びます。

③ですが
シトクロムP450は、基質特異性が低いことが特徴です。いっぱい仕事があるので、あんまり深く考えず、ざくざく酸化していくイメージです。

④は、妥当な記述です。
活性硫酸はPAPS(
3′-phosphoadenosine 5′-phosphosulfate) と略されます。以下が構造式です。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:3%27-Phosphoadenosine-5%27-phosphosulfate.svg

⑤ は、妥当な記述と考えられます。

以上より、①◯、②◯、③☓、④◯、⑤◯ です。

コメント