公務員試験 2020年 国家一般職(教養) No.32解説

 問 題     

高分子化合物等に関する記述 A~D のうち,妥当なもののみを挙げているのはどれか。

A:生分解性高分子は,微生物や生体内の酵素によって,最終的には,水と二酸化炭素に分解される。生分解性高分子でつくられた外科手術用の縫合糸は,生体内で分解・吸収されるため抜糸の必要がない。

B:吸水性高分子は,立体網目状構造を持ち,水を吸収すると,網目の区間が広がり,また,電離したイオンによって浸透圧が大きくなり,更に多量の水を吸収することができる。この性質を利用して,吸水性高分子は紙おむつや土壌の保水剤などに用いられる。

C:テレフタル酸とエチレンの付加重合で得られるポリエチレンテレフタラート(PET)は,多数のエーテル結合を持つ。これを繊維状にしたものはアクリル繊維と呼ばれ,耐熱性,耐薬品性に優れ,航空機の複合材料や防弾チョッキなどに用いられる。

D:鎖状構造のグルコースは,分子内にヒドロキシ基を持つので,その水溶液は還元性を示す。また,蜂蜜や果実の中に含まれるフルクトースは,多糖であり,糖類の中で最も強い甘味を持ち,一般的にブドウ糖と呼ばれる。

1.A,B
2.A,C
3.B,C
4.B,D
5.C,D

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

記述 A は妥当です。
生分解性高分子についてです。

記述 B は妥当です。
吸水性高分子についてです。

記述 C ですが
ポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸と「エチレングリコール」の「縮合重合」により得られ、多数の「エステル結合」を有します。化学式は以下の通りです。

「エチレン」ではありません。また、「付加重合」ではなく、多数の「エーテル結合」ではありません。また、繊維状にしたものは「ポリエステル繊維」です。記述 C は誤りです。

記述 D ですが
鎖状構造のグルコースは、分子内に「アルデヒド基」を有するために、その水溶液は還元性を示します。「ヒドロキシ基」ではありません。そして、一般的に「ブドウ糖」と呼ばれるのは、グルコースです。ちなみにフルクトースはグルコースと同じく単糖の一種です。記述 D は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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