公務員試験 2020年 国家一般職(行政) No.60解説

 問 題     

社会調査に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.一般に,個別面接調査,留置調査,郵送調査,電話調査の四つの調査法を回収率とコストの観点から比較した場合,最も高い回収率が期待できるのは郵送調査だが,郵送料が必要となるため,コストの面では他の三つの調査法と比べて高くなる。

2.キャリー・オーバー効果とは,一つの質問文に複数の意味が存在することによって,調査対象者に困難や誤解をもたらすことをいう。例えば,「アルコールの摂取は健康に害をもたらすので,やめるべきであると思うか」という質問文がこれに該当する。

3.ダブル・バーレルとは,一つの調査票の中で前に置かれた質問の回答が後に置かれた質問の回答に影響を与えることを意味するが,調査票の構成や項目の順序を変えることにより,こうした影響を完全に排除することができる。

4.統計的調査には,母集団全員に調査を行う全数調査(悉しっ皆かい調査)と,母集団から一部を取出し全体の特徴を推定する標本調査があり,標本調査の優れた点としては,調査に伴うコストを低く抑えたり,誤答,誤記入,入力ミス等から生じる誤差(非標本誤差)を小さくしたりすることができることが挙げられる。

5.無作為抽出とは,調査者が調査対象者を偶然によって無秩序に選ぶ抽出法で,例えば,日本全国の高校生の政治的態度を明らかにするために,原宿駅前を通りかかった高校生から偶然見つけた100 人を選ぶ場合,これを無作為抽出と呼ぶことができる。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
アンケートの回収率とは、アンケート調査を依頼し配布した数に対して、回答が集められた数の割合です。郵送調査法は、郵便で調査票と返送用封筒を送り、回答後、調査票を返送してもらう方法です。回収率が相対的に低いというデメリットはありますが、広範囲に手間がかからず調査を行うことがメリットです。「最も高い回収率が期待できる」わけではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2,3 ですが
キャリーオーバー効果とは、「ある質問が、その後の質問の回答に影響を与えること」です。ダブルバーレルは、1 つの質問で 2 つの内容を問うことです。(H27no59)。選択肢 2,3 は主語が逆になっており、共に誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
統計的調査に関する記述です。

選択肢 5 ですが
無作為抽出の定義は妥当です。例としてあげられているケースは、「原宿駅前を通りかかった高校生」であれば、当然原宿付近に住んでいる高校生の割合が非常に多いと考えられます。従って、日本全国の高校生から、偶然により無秩序に選んだとはいえません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

コメント