公務員試験 2020年 国家一般職(行政) No.43解説

 問 題     

我が国の経済の動向に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.2018 年度の実質GDP 成長率(対前年度比)は, 1 % に達しておらず,2017 年度の2 % 程度と比べて成長率が鈍化した。2018 年度の実質GDP 成長率を需要項目別にみると,高水準にある企業収益を背景に,民間企業設備がプラスに寄与した。

2.名目GDP の産業別構成比をみると,製造業は1994 年に5 割程度を占めていたが,2017 年には4 割程度に低下している。他方で,非製造業については,卸売・小売業などの割合が当該期間において増加し,2017 年には非製造業全体で名目GDP の6 割弱のシェアとなっている。

3.家計最終消費支出の動向(対前年度比)をみると,2000 年度から2007 年度までの各年度の増加率の平均が名目で1.2 %,実質で0.5 % と,インフレにより実質消費の伸びが弱くなっていた。2014 年の消費税引上げ以降も消費は力強さを欠いており,2017 年度の家計最終消費支出の対前年度増加率は実質で0.5 % に達しなかった。

4.ハローワークにおける求人数に対してどの程度求職者がいるかを示す指標である有効求人倍率(季節調整値)の動向をみると,2013 年以降上昇傾向が続き,2019 年には2.0 倍を上回る水準となっている。一方,非製造業の新規求人数(季節調整値)については2017 年初めから2019 年初めにかけて減少傾向で推移している。

5.日本銀行は,金融緩和強化のための持続性の高い新しい政策枠組みとして,2016 年9 月に政策金利のフォワードガイダンスを導入した。また,2018 年7 月には「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入し,短期政策金利をゼロ% とし,10 年物国債金利がマイナス0.1 % 程度で推移するよう長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を行うこととした。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
実質 GDP に関する記述です。

選択肢 2 ですが
名目 GDP 産業別構成比率において、第1位がサービス業、第2位が製造業です。それぞれ 20% 弱程度を占めます。また、卸売・小売業はわずかに減少傾向が続いており、全体の 15% 弱程度を占めています。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
2017 年度の家計最終消費支出の対前年増加率は、実質 1% を超えています。「実質で0.5 % に達しなかった」わけではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
有効求人倍率は、2009 年リーマンショック時が 約 0.5 で、以降ずっと上昇、回復していましたが、2019 年に 約1.6 で頭打ちとなり、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて急激に低下しています。「2019 年には 2.0 倍を上回る水準となっている」わけではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
フォワードガイダンスとは、将来の金融政策の方針を前もって表明することです。導入は 2018 年 7 月です。イールドカーブコントロールとは、長期 / 短期 金利の誘導目標を操作し、イールドカーブを適切な水準に維持することです。イールドカーブとは、横軸に償還期間、縦軸に利回りをとったグラフです。原則右上がりです。導入したのは 2016 年 9 月です。それぞれの導入時期が逆です。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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