公務員試験 2020年 国家一般職(行政) No.44解説

 問 題     

我が国の経済の動向に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.内閣府「経済財政白書」(令和元年度)により,経済全体の需給の状況を示すGDP ギャップ(四半期別)の動向をみると,2000 年代に入ってから2019 年前半まで,ほぼ一貫してプラスで推移しているが,2000 年代後半の世界経済危機以降は,プラス幅が縮小傾向で推移している。

2.内閣府「経済財政白書」(令和元年度)により,民間企業設備(四半期別,実質季節調整系列)の動向をみると,2010 年から2015 年頃までは減少傾向で推移していたが,その後,増加傾向に転じた。しかし,2018 年後半の民間企業設備の水準は2010 年のそれの6 割程度となっている。

3.為替レートの動向(対ドル)をみると,2016 年の初めから急速に円安方向へ進み2016 年半ばには1 ドル120 円程度となった。その後,円高方向へ動いたが,2017 年初めから2018 年後半にかけては,米国の政策金利の据え置きを背景に95 円~100 円の安定した水準で推移した。

4.内閣府「経済財政白書」(令和元年度)により,世帯主(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)の年齢階層別の平均消費性向をみると,「39 歳以下」,「40~49 歳」,「50~59 歳」のいずれも,2012
から2018 年にかけて上昇傾向にある。また,2018 年についてみると,「39 歳以下」の平均消費性向は,「40~49 歳」,「50~59 歳」の平均消費性向よりも高い。

5.2012 年と2018 年の就業者数を比較すると,生産年齢人口が減少する中,女性や高齢者の就業者の増加に伴い,就業者数全体も増加した。また,2018 年の就業者数は,前年のそれよりも100 万人以上増加した。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
GDP ギャップがプラスの状態を「インフレギャップ」、マイナスの状態を「デフレギャップ」と呼びます。インフレギャップは好景気・景気の過熱・インフレ気味、デフレギャップは不況・デフレ気味を表します。2000 年~2020 年の日本経済は、原則デフレ傾向です。そこから「ほぼ一貫してプラスで推移」という表現に違和感を覚えてほしい記述です。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
民間企業設備投資は、2010 年から、新型コロナウイルス感染症拡大まで、緩やかな上昇傾向です。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
2016 年6 月に英国で行われた国民投票で EU からの離脱が支持されたことから、安全資産とされる円に資金が逃避し、「円高」が進行しました。(H29no43)。前半部分で誤りと判断したい内容です。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
平均消費性向とは、可処分所得に対する消費支出の割合です。世帯の消費意欲を示す指標として用いられます。年代が高くなると可処分所得が増えるため、原則として、年代が高くなるほど平均消費性向は大きくなります。「2018 年についてみると,「39 歳以下」の平均消費性向は,「40~49 歳」,「50~59 歳」の平均消費性向よりも高い」ということはありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
就業者数についての記述です。

以上より、正解は 5 です。

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