公務員試験 2020年 国家一般職(行政) No.30解説

 問 題     

相続の放棄に関する ア~エ の記述のうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア.相続の放棄をしようとする者は,相続の開始前においては,その旨を家庭裁判所に申述しなければならないが,相続の開始後においては,その意思を外部に表示するだけで足りる。

イ.相続の放棄をした者は,その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで,善良な管理者の注意をもって,その財産の管理を継続しなければならない。

ウ.被相続人の子が相続の放棄をしたときは,その者の子がこれを代襲して相続人となることはない。

エ.一旦行った相続の放棄は,自己のために相続の開始があったことを知った時から 3 か月以内であっても,撤回することができない。

1.ア,イ
2.ア,ウ
3.イ,ウ
4.イ,エ
5.ウ,エ

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

記述 ア ですが
民法第 938 条より、相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければなりません。「意思を外部に表示するだけで足りる」わけではありません。記述 ア は誤りです。

記述 イ ですが
民法第 940 条により、相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければなりません。「善良な管理者の注意をもって」ではありません。記述 イ は誤りです。

記述 ウ、エ は妥当です。
ウ について、民法第 887 条 2 項の項目に該当しません。また、エ について、民法第 919 条により、いわゆる熟慮期間においても、いったん相続の承認や放棄をすると、原則撤回できません。

以上より、正解は 5 です。

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