公務員試験 2020年 国家一般職(行政) No.26解説

 問 題     

詐害行為取消権に関する ア~オ の記述のうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア.債権者は,その債権が詐害行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り,詐害行為取消請求をすることができる。

イ.債務者が,その有する財産を処分する行為をした場合には,受益者から相当の対価を取得しているときであっても,その財産を隠匿する意思があったと直ちにみなされるため,債権者は,その行為について詐害行為取消請求をすることができる。

ウ.債権者は,受益者に対する詐害行為取消請求において財産の返還を請求する場合であって,その返還の請求が金銭の支払又は動産の引渡しを求めるものであるときは,受益者に対して,その支払又は引渡しを自己に対してすることを求めることはできない。

エ.詐害行為取消請求を認容する確定判決は,債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有する。

オ.詐害行為取消請求に係る訴えは,債務者が債権者を害することを知って行為をした時から1年を経過したときは,提起することができない。

1.ア,イ
2.ア,エ
3.イ,オ
4.ウ,エ
5.ウ,オ

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

詐害行為取消権とは、債権者が債権弁済を確保するために、債務者のした財産減少行為(=詐害行為)を取消す権利です。債権者取消権とも呼ばれます。債権者は債務者の財産に対し、直接権利を持つわけではなく、原則として、財産に干渉できません。この原則に対する例外的権利となります。詐害行為取消権は、裁判上行使しなければならないという特徴があります。

記述 ア は妥当です。
詐害行為取消権の要件として、債権が、詐害行為の前の原因に基づいて生じる必要があります。

記述 イ ですが
民法第 424 条のニより、相当の対価を取得している場合は、隠匿等の処分をするおそれがあるなどの要件を満たす場合においてのみ、詐害行為取消請求ができます。「財産を隠匿する意思があったと直ちにみなされるため,債権者は,その行為について詐害行為取消請求をすることができる」というわけではありません。記述 イ は誤りです。

記述 ウ ですが
民法第 424 条の九より、債権者は、受益者又は転得者に対して財産の返還を請求する場合において、その返還の請求が金銭の支払又は動産の引渡しを求めるものであるときは、受益者に対してその支払又は引渡しを、転得者に対してその引渡しを、自己に対してすることを求めることができます。記述 ウ は誤りです。

記述 エ は妥当です。
民法第 425 条です。

記述 オ ですが
民法第 426 条により、債権者が詐害行為を知ってから2年、または、詐害行為から 10 年経過で、訴訟提起できなくなります。「債務者が・・・知って行為をした時から 1 年」ではありません。記述 エ は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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