公務員試験 2020年 国家一般職(行政) No.25解説

 問 題     

根抵当権に関する ア~オ の記述のうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア.根抵当権とは,一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保する抵当権のことである。例えば,継続的な売買取引に基づき発生する代金債権を担保するため,買主所有の不動産に対し,極度額の限度で抵当権を設定する場合がこれに当たる。

イ.根抵当権の極度額の増額は,後順位の抵当権者等の利害関係者に重大な不利益を及ぼす可能性がある。したがって,その増額分については新たな根抵当権を設定すべきであり,利害関係者の承諾を得たとしても,極度額を増額することはできない。

ウ.根抵当権の担保すべき元本について,その確定すべき期日を定めた場合は,後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得なければ,その期日を変更することができない。

エ.根抵当権の担保すべき債権の範囲は,元本の確定前であれば変更することができる。ただし,被担保債権を追加する変更を行う場合には,後順位の抵当権者その他の第三者に不利益を及ぼす可能性があることから,これらの者の承諾を得なければならない。

オ.元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は,その債権について根抵当権を行使することができない。

1.ア,イ
2.ア,オ
3.イ,ウ
4.ウ,エ
5.エ,オ

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

通常の抵当権は、特定債権を担保するために設定されます。土地所有者 A さんが 1000 万円借りたくて、B さんが 1000 万円貸した時、といった場合です。この債権が消滅すると抵当権も消滅します。これを付従性といいます。

ところが、これだと困るのが、銀行と取引先や、メーカーと商社といったちょこちょこ色んな債権債務のやり取りが行われるケースです。いちいち売れたら抵当権消滅、また設定とやっていたらめんどくさいので「一定範囲の不特定債権を、極度額の限度で担保するような抵当権設定」が取引上重要となります。このような抵当権を「根(ね)抵当権」といいます。債権債務がある程度変動する中での担保なので、抵当権と異なり、債権との付従性を有しません。(H26no25)。

記述 ア は妥当です。
根抵当権についての記述です。

記述 イ ですが
民法 第 398 条の五により「根抵当権の極度額の変更は、利害関係を有する者の承諾を得なければ、することができ」ません。従って、利害関係を有する者の承諾があれば、極度額の変更ができます。増額もできます。記述 イ は誤りです。

記述 ウ ですが
民法 第 398 条の六 第 2 項により準用されている、民法 第 398 条の四 第 2 項により、根抵当権の担保すべき元本について、確定すべき期日を定め又は変更する際に、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることは要しません。記述 ウ は誤りです。

記述 エ ですが
民法 第 398 条の四 第 2 項により、承諾不要です。記述 エ は誤りです。

記述 オ は妥当です。
元本確定前の根抵当権には随伴性がありません。民法 第 398 条の七 第 1 項です。

以上より、正解は 2 です。

コメント