公務員試験 2020年 国家一般職(行政) No.24解説

 問 題     

担保物権の性質及び効力に関する ア~オ の記述のうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア.担保物権には,被担保債権が発生しなければ担保物権も発生せず,被担保債権が消滅すれば担保物権も消滅するという性質がある。この性質は,担保物権が債権の強化のために存在するものであることから,全ての担保物権に共通して当然に認められるものである。

イ.担保物権には,被担保債権の全部の弁済を受けるまでは,目的物の全部についてその権利を行使することができるという性質がある。この性質は,留置権,先取特権及び質権には認められるが,抵当権については,目的物の一部に対して実行することも可能であるから,認められない。

ウ.担保物権には,目的物の売却,賃貸,滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても行使することができるという性質がある。この性質は,担保の目的物を留置することによって間接的に債務の弁済を促そうとする留置権には認められない。

エ.担保物権には,担保権者が被担保債権の弁済を受けるまで目的物を留置することができるという効力がある。この効力は,留置権にのみ認められるもので,その他の担保物権には認められない。

オ.担保物権には,担保権者が目的物の用法に従いその使用及び収益をすることができるという効力がある。この効力が認められるものとして,不動産質権が挙げられる。

1.ア,イ
2.ア,エ
3.イ,ウ
4.ウ,オ
5.エ,オ

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

記述 ア ですが
付従性についての記述です。債権との結びつきが強い場合に付従性が認められることから、元本確定前の根抵当権などにおいて、付従性は認められません。「全ての担保物権に共通して当然求められる」わけではありません。記述 ア は誤りです。

記述 イ ですが
不可分性についての記述です。抵当権についても認められる性質です。記述 イ は誤りです。

記述 ウ は妥当です。
物上代位性についての記述です。留置権には認められません。

記述 エ ですが
質権にも留置的効力が認められます。「留置権にのみ認められるもので,その他の担保物権には認められない」わけではありません。記述 エ は誤りです。

記述 オ は妥当です。
収益的効力についての記述です。

以上より、正解は 4 です。

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