公務員試験 2020年 国家一般職(行政) No.23解説

 問 題     

動産の物権変動に関するア~オの記述のうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。ただし,争いのあるものは判例の見解による。

ア.債務者が動産を譲渡担保に供し引き続きこれを占有する場合,債権者は,譲渡担保契約の成立と同時に,占有改定により当該動産の占有権を取得し,その引渡しを受けたことになるので,その所有権の取得を第三者に対抗することができる。

イ.法人A所有の動産がBに譲渡され,AからBに引き渡されたとしても,その後,当該動産がCにも譲渡され,動産譲渡登記ファイルにAからCへの譲渡の登記がされた場合,Bは,Cに対し,その所有権の取得を対抗することはできない。

ウ.A所有の動産をBが占有していたところ,Bが死亡してBの相続人Cが相続財産の包括承継により善意・無過失で当該動産を占有した場合には,Cは当該動産を即時取得する。

エ.即時取得の対象となるのは動産の所有権のみであり,質権は即時取得の対象とならない。

オ.A所有の動産がBに盗まれ,その後,BからCに譲渡された場合には,Cが善意・無過失であったとしても,Aは,盗難の時から2 年間,Cに対して当該動産の回復を請求することができる。

1.ア,イ
2.ア,オ
3.イ,ウ
4.ウ,エ
5.エ,オ

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

記述 ア は妥当です。
最判 S30.6.2 の内容です。

記述 イ ですが
動産の二重譲渡なので、先に引き渡しを受けている B は、C に対して対抗できます。動産譲渡登記ファイルに登記がされていても、引き渡しの先後が対抗要件です。じゃあなんのための登記ファイルか、と感じるかもしれません。これは「動産を担保とした譲渡」の保護という狙いがある制度です。「占有改定という、外的にわかりづらい方法による引き渡しを受けた先行譲渡人」が、該当譲渡を登記ファイルに登記しておけば、後に「即時取得」した人に対し、登記調査を怠った過失を指摘することで即時取得を成立させないようにすることができ、安心です。記述 イ は誤りです。

記述 ウ ですが
民法第 192 条により、即時取得は「取引行為によって・・・動産の占有を始めた」場合の話です。従って、相続による占有開始では、即時取得は認められません。記述 ウ は誤りです。

記述 エ ですが
即時取得の対象となる権利は、所有権の他、質権や動産先取特権が対象となります。「所有権のみであり,質権は即時取得の対象とならない」わけではありません。記述 エ は誤りです。

記述 オ は妥当です。
民法第 193 条。H27no23

以上より、正解は 2 です。

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