問 題
金融の仕組みに関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.金融機関が破綻した場合,預金者に対して一定額の払戻しを保証する制度をペイオフという。我が国では,預金者一人当たり一つの金融機関につき元本1,000 万円とその利息が払戻しの上限額である。
2.預金と貸出しが繰り返されることで,銀行全体として当初の10 倍以上の預金をつくり出す仕組みを信用創造といい,支払準備率が高いほど,より多くの貸出しを行うことができる。
3.中央銀行が実施する公開市場操作のうち,国債を買い入れる買いオペレーションは,一般に好況時に実施され,市場に資金を供給することで,金利を引き上げる方向に導くものである。
4.通貨は,現金通貨とマネーストックの二つから構成されている。マネーストックは,支払手段として機能する小切手などを指しており,預金を含まない。
5.金融市場における競争を促進するため,国際業務を扱う銀行の総資産に占める自己資本の割合は 8 % を超えないよう国際的に規定されており,自己資本の過剰な積増しは禁止されている。
解 説
選択肢 1 は妥当です。
ペイオフに関する記述です。
選択肢 2 ですが
「信用創造」とは、預金の貸付により通貨を創造できる仕組みのことです。前半部分は妥当です。(国家一般職 H27 no39)。後半部分ですが、支払準備率とは、預金者の払戻しに対する準備金の割合のことです。この率が高いほど、預金総額は低くなり、多くの貸出しができなくなります。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
中央銀行が買いオペをすると、市場における通過供給量が増加します。お金がどんどん市場に出回ってほしいのは、一般に不況時です。一般に好況時ではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
マネーサプライは、家計・企業の有する現金+預金です。マネーサプライのことを、マネーストックと呼ぶこともあります。(H26no38)。従って、預金を含みます。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
自己資本は返済義務のない資本であり、健全な運営のため、十分な自己資本が必要となります。そのため、国際業務を行う銀行には、8 パーセント「以上」の自己資本比率が求められています。スイスのバーゼルにある国際決済銀行(BIS)に事務局を置くバーゼル委員会による規制です。「8%を超えないように」ではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1 です。
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