公務員試験 2019年 国家一般職(教養) No.33解説

 問 題     

動物の行動に関する記述 A~D のうち,妥当なもののみを挙げているのはどれか。

A:動物が感覚器官の働きによって,光やにおい(化学物質)などの刺激の方向へ向かったり,刺激とは逆の方向へ移動したりする行動を反射といい,これは,習わずとも生まれつき備わっているものである。一例として,ヒトが熱いものに手が触れると,とっさに手を引っ込めるしつがいけん反射が挙げられる。

B:カイコガの雌は,あるにおい物質を分泌し,雄を引きつける。この物質は,性フェロモンと呼ばれ,雄は空気中の性フェロモンをたどって,雌の方向へと進む。このように,動物がある刺激を受けて常に定まった行動を示す場合,この刺激をかぎ刺激(信号刺激)という。

C:動物が生まれてから受けた刺激によって行動を変化させたり,新しい行動を示したりすることを学習という。例えば,アメフラシの水管に接触刺激を与えると,えらを引っ込める筋肉運動を示すが,接触刺激を繰り返すうちにえらを引っ込めなくなる。これは,単純な学習の例の一つで,慣れという。

D:パブロフによるイヌを用いた実験によれば,空腹のイヌに食物を与えると唾液を分泌するが,食物を与えるのと同時にブザー音を鳴らすことにより,ブザー音だけで唾液を流すようになる。このような現象は刷込み(インプリンティング)といい,生得的行動に分類される。

1.A,B
2.A,C
3.B,C
4.B,D
5.C,D

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

記述 A ですが
感覚器官の働きにより刺激の方向に向かうのは「走性」です。反射ではありません。反射は、特定の刺激に対して、意識されることなく起きる反応のことです。ヒトが熱いものに手が触れると、とっさに手を引っ込めるのは「脊髄反射」です。しつがいけん反射とは、膝の下辺りをコツンと叩くと、足がびくんと上がる反射のことです。記述 A は誤りです。

記述 B は妥当です。
性フェロモンに関する記述です。

記述 C は妥当です。
学習に関する記述です。

記述 D ですが
パブロフによるイヌの実験で、ブザー音だけで唾液を流すようになる現象は「条件反射」です。このような現象は、習得的(後天的)行動に分類されます。ちなみに、刷込み(インプリンティング)とは、ある時期に特定の物事がごく短時間で覚え込まれ、長時間持続する学習現象の一種です。記述 D は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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