公務員試験 2019年 国家一般職(行政) No.41解説

 問 題     

我が国の財政制度等に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.国債発行についてみると,建設国債及びその借換えのための借換債については,財政法第 4 条のただし書において発行が認められている。一方,財源不足分を補うための特例公債については,財政法上発行が予定されたものではないため,発行に際しては,毎年度特例公債法を制定しなくてはならず,公債の発行期間を複数年度とすることは許されない。

2.財政法では,内閣が提出する予算の提出時期について規定はないが,毎年度の政府予算案は,通常,前年度の12 月までに国会へ提出されている。また,国会への提出に当たっては,衆議院と参議院のいずれに先に提出してもよいが,慣例として衆議院に先に提出されている。

3.種々の要因により国会が年度開始までに予算を議決することができない場合,本予算が成立するまでの間に必要な支出等を可能にするため,補正予算を提出することができる。しかし,平成 20 年度以降では年度開始までに本予算が成立しなかった例はない。

4.財政投融資の財源としては,郵便貯金や年金積立金から義務預託された資金のほかに,国が財投債を発行して調達した資金がある。一方,財投機関は自ら債券を発行して金融市場から資金を調達することは禁止されている。

5.公債の発行については,日本銀行による公債の引受けは原則として禁止されている。ただし,特別の事由がある場合においては,国会の議決を経た金額の範囲内で,日本銀行による公債の引受けが認められている。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
本試験時点において、複数年度にわたる特例公債発行が許されています。「公債の発行期間を複数年度とすることは許されない」わけではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
憲法 60 条第 1 項に基づき、衆議院が予算先議権を有します。(H28no41)。「慣例として衆議院に先に提出されている」わけではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
本試験時点における最新として、2015 年予算が 3 月までに成立せず、暫定予算が組まれた例があげられます。この時の要因は、2014 年暮れの衆議院選挙での予算案編成作業等の遅れでした。「平成 20 年度以降では年度開始までに本予算が成立しなかった例はない」わけではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
財投機関債の発行による資金調達も認められています。「財投機関は自ら債券を発行して金融市場から資金を調達することは禁止されている」わけではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
公債引受けに関する記述です。

以上より、正解は 5 です。

コメント