公務員試験 2019年 国家一般職(行政) No.34解説

 問 題     

X財を生産する企業 1 とY財を生産する企業 2 の間には外部性が存在し,企業 1 の生産活動が企業 2 に外部不経済を与えているとする。二つの企業の費用関数がそれぞれ以下のように示される。

いま,X財とY財の市場価格はそれぞれ 40 と 50 であり,一定であるものとする。このとき,合理的で利潤を最大化する二企業間で外部不経済に関して交渉が行われないときの二企業の利潤の合計の大きさと,二企業間で外部不経済に関して交渉が行われ,二企業の利潤の合計を最大化するときの二企業の利潤の合計の大きさの差はいくらか。ただし,交渉が行われる場合において,交渉のための取引費用は一切かからないものとする。

1. 75
2. 90
3. 105
4. 120
5. 135

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

企業1 の売上は 40x、費用は x2 なので、利潤は 40x ー x2 です。
企業 2 の売上は 50y、費用は y2 + xy なので、利潤は 50y ー(y2 + xy) です。

まず、交渉がない場合を考えます。交渉がないため、それぞれの企業が利潤最大化を行います。まず企業 1 に注目すると、f(x) = 40x ー x2 とおけば、f'(x) = ー2x + 40 です。f'(x) = 0 となるのは、x = 20 の時です。この時、企業 1 の利潤は 40 × 20 ー 202 = 800 ー 400 = 400 です。

次に、企業 2 の利潤の式に x = 20 を代入すると、f(y) = 50y ー y2 ー 20y となります。f'(y) = -2y + 30 なので、y = 15 の時に f'(y) = 0 です。この時、企業 2 の利潤は、-225 + 450 = 225 です。利潤の合計は 400 + 225 = 625 です。

次に、企業1と企業2の利潤の合計を最大化する場合を考えます。
利潤の合計は f(x,y) = 40x ー x2 + 50y ー(y2 + xy) です。2変数関数なので、1 文字を変数、もう1文字を定数とみなして整理します。x を文字として考えると、f(x,y) = ーx2 + (40-y)x +(-y2 + 50y) です。x で微分します。 x を変数、y を定数とみて微分します。 df(x,y)/dx = ー2x + 40 -y です。x = (40 – y)/2 の時、df(x,y)/dx = 0 です。x = (40 – y)/2 を元の利潤合計の式に代入し、y のみの式に直して微分すると、以下のようになります。

x = (40 – y)/2 なので、y = 20 を代入すれば x = 10 です。(x,y) = (10,20) の時、利潤の合計は 
40 × 10 ー 102 + 50 × 20 ー (202 + 10 × 20) = 1300 – 600 = 700 です。

従って、利潤合計の差は 700 – 625 = 75 です。

以上より、正解は 1 です。

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