公務員試験 2019年 国家一般職(行政) No.18解説

 問 題     

行政事件訴訟法上の出訴期間に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.出訴期間の制度は,行政法関係の早期安定の要請に基づくものであり,その期間をどのように定めるかは立法者の幅広い裁量に委ねられているので,具体的な出訴期間の長さが憲法上問題となることはないとするのが判例である。

2.取消訴訟は,処分又は裁決があったことを知った日から6 ヶ月を経過したときは提起することができず,処分又は裁決の日から1 年を経過したときも同様である。ただし,いずれの場合においても,正当な理由があるときは,出訴期間経過後の訴えの提起が認められる。

3.出訴期間を徒過し,取消訴訟を提起することができなくなった場合,これにより法律関係が実体的に確定するので,その後に処分庁である行政庁が職権により処分又は裁決を取り消すことはできない。

4.行政事件訴訟法の出訴期間の規定における「正当な理由」には,災害,病気,怪我等の事情のほか,海外旅行中や多忙であったといった事情も含まれると一般に解されている。

5.行政処分の告知が個別の通知ではなく告示によることが法律上定められている場合であっても,出訴期間は,告示が適法になされた日ではなく,当事者が処分があったことを現実に知った日から計算される。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが
最大判 S24.5.18 によれば、出訴期間があまりに短いなど、著しく不合理で実質上裁判の拒否と認められるような場合でない限り、憲法 32 条に違反するものではないです。従って、「具体的な出訴期間の長さが憲法上問題となることがない」わけではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当です。
行政事件訴訟法 14 条の通りです。

選択肢 3 ですが
行政庁については、出訴期間が過ぎてからも、自ら職権によって取り消すことが可能です。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
海外旅行中や、単に多忙といった事情は含まれないと一般に解されています。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
行政処分の告知が告示によることが法律で定められており、告示が適法になされたのであれば、反証のない限り、社会通念上処分のあったことを当事者が知り得べき状態に置かれたと推定されると考えられます。(参考 最判 S27.11.20)。従って、出訴期間は「告示が適法になされた日」から計算されます。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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