公務員試験 2019年 国家一般職(行政) No.9解説

 問 題     

地方自治に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.平成の大合併では,「民主化」政策において,地方分権を進めるためには,おおむね中学校一つの運営規模に当たる8,000 人を人口の基準として,市町村を構成する必要があるとされ,その結果として,市町村の数は約 3,200 から約 1,800 に減少した。

2.道州制とは,北海道に現在と同じ「道」,日本国内の一定規模以上の地域に「州」を設置し,都道府県よりも広域的な行政を行おうとする仕組みであり,第三次安倍晋三内閣の重要政策として,平成 29(2017)年に一億総活躍国民会議が,現在の都道府県を統廃合した道州制案を提案した。

3.大阪市は東京市,京都市,千葉市とともに府県からの独立を求めて,特別市制運動を展開していた。しかし,第二次世界大戦中に都市の防衛が課題になるにつれ,大阪府と大阪市の二重行政の解消が課題となったことから,大阪市を廃止し,これを大阪府に吸収合併して,新たな大阪府を創設した。

4.日本国憲法に定められた地方自治の本旨とは,住民自治と団体自治の原理であり,前者は地域住民の自律的な意思に基づいて地域の統治が行われること,後者は国内の一定地域の公共団体が中央政府から組織的に独立し,その地域を自主的に運営することと一般的に理解されている。

5.米国の地方自治における市会・市支配人制は,議会の議員と市支配人(シティーマネージャー)がそれぞれ住民の選挙で選出され,議会が政策の立案,市支配人が政策の執行に当たる仕組みであり,市支配人は,議会ではなく住民に対して行政の運営の責任を負っている。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
中学校1校を効率的に設置管理していくため、人口規模 8,000 人を標準として進められたのは「昭和の大合併」です。平成の大合併では、市町村を 1,000 程度に統合することが目安とされ、人口1万人未満の小規模町村の消滅が1つの目標とされました。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
道州制案は、第三次安倍内閣(2014.12.24~2015.10.7) の重要政策として、提案されてはいません。正確に覚えていなくても、それほど話題に登っていないという印象ではないでしょうか。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
大阪市は本試験時点で存在しています。4世紀に難波宮が置かれて以降、およそ 1600 年以上の歴史を有します。「大阪市を廃止し,これを大阪府に吸収合併して,新たな大阪府を創設」という記述は誤りです。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
地方自治の本旨に関する記述です。

選択肢 5 ですが
市会・市支配人制とは、市議会がシティー・マネージャーを任命し、行政を任せるシステムです。市支配人が、雇われの市役所最高責任者として、政策執行を監督します。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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