公務員試験 2019年 国家一般職(行政) No.8解説

 問 題     

我が国における行政の在り方の見直しに関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.三位一体改革の一つとして導入されたPFI は,国の行政に関わる事業のみを対象とし,道路,空港,水道等の公共施設や,庁舎や宿舎等の公用施設の建設と維持管理について,民間事業者に委ねるものである。今後,地方公共団体の事業にPFI を導入することが課題となっている。

2.「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」の制定により,国民主権の理念に基づいて,日本国民に限って行政機関が保有する行政文書に対する開示請求が可能となった。ただし,電磁的記録は,開示請求の対象とはされていない。

3.民間委託は,施設の運営をはじめとして,窓口業務,清掃,印刷等の地方公共団体における様々な業務に広く導入されている。平成15(2003)年には,指定管理者制度が導入され,民間事業者やNPO 法人等に対し,包括的に施設の管理や運営を代行させることが可能となった。

4.市場化テストとは,毎年度,経済産業省が中心となって対象事業を選定し,官民競争入札等監理委員会の審議を経て実施されているものである。この市場化テストは,民間事業者が事業を落札することを前提に運営されているため,政府機関が入札に参加することはできない。

5.政令や府省令等の制定・改正を必要とする行政施策を決定する前に,広く一般の意見を聴取する意見公募手続(パブリックコメント)が行われている。これは,政策に利害関係を有する個人が施策決定前に意見を表明できる機会であり,書面の持参による提出のみが認められている。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
PFI(Private Finance Initiative)とは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う手法です。地方公共団体の事業も対象です。国の行政に関わる事業のみを対象としたものではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
一読して確実に誤りと判断したい内容です。仮にこれが正解であれば、開示請求に対して「それは電磁的記録なので、請求対象となりません」として、実質ほぼ何でも請求を拒否できてしまいます。行政文書には、当然「電磁的記録」も含まれます。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。

選択肢 4 ですが
市場化テストとは、官民競争入札制度のことです。民間も含めた、官民垣根のない競争をする制度です。(H26no9)。「政府機関が入札に参加することはできない」わけではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
メールでパブリックコメントを受け付けているのを、見聞きしたことがあるのではないでしょうか。書面持参しか認められていなかったら、手間が多きすぎて、現実的に意見が集まらないからおかしいと判断できると思われます。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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