R5年 大気特論 問6 問題と解説

 問 題     

液体燃料と固体燃料の燃焼装置に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 高圧気流式バーナーと油圧式バーナーでは、より狭角の火炎を形成するのは、油圧式バーナーである。
  2. 油圧式噴霧バーナーでは、戻り油式にすると油量調節範囲が大きくなる。
  3. 高圧気流式噴霧バーナーでは、噴霧媒体として蒸気又は空気が使用される。
  4. 流動層燃焼では、一般にガス流速は、循環形が気泡形より大きくなる。
  5. 水平燃焼法を用いた微粉炭燃焼の大形ボイラーでは、一般に対向燃焼が採用される。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

(1)が誤りです。液体燃料の噴霧に用いられる各バーナーの特徴を簡単にまとめると、次のようになります。

  • 油圧式バーナー:
    • 油(燃料)そのものを加圧して噴霧する
    • 火炎形状は広角で短炎
    • 負荷変動の少ない大型ボイラーに適している
  • 回転式バーナー:
    • 回転による遠心力で油(燃料)を噴霧する
    • 火炎形状は広角で長さは変化できる
    • 負荷変動のある中・小形ボイラーに適している
  • 高圧気流式バーナー:
    • 高圧の空気または蒸気を油(燃料)にぶつけることで噴霧する
    • 火炎形状は最も狭角で長炎
  • 低圧空気式バーナー:
    • 数kPa程度の低圧の空気を油(燃料)と混合しながら噴霧する
    • 火炎形状は狭角で短炎
    • 小形加熱炉などに適している

よって、油圧式バーナーは広角の火炎を形成するため、より狭角の火炎を形成するのは「高圧気流式バーナー」のほうです。

(2)は正しいです。油圧式バーナーには戻り油式と非戻り油式とがありますが、戻り油式のほうは戻り油の量で油量を調節しています。一方、非戻り油式のほうは圧力を変化させることで油量を調節しています。つまり、戻り油式は油量調節範囲が広く、非戻り油式は圧力調節範囲が広いといえます。

(3)も正しいです。(1)の解説の通り、高圧気流式噴霧バーナーの噴霧媒体は、蒸気または空気です。

(4)も正しいです。石炭の燃焼方法はガス流速により、固定層燃焼、流動層燃焼、微粉炭燃焼に大別されます。流動層燃焼はさらに気泡流動層燃焼と循環流動層燃焼に区分されます。

今回のようにこれらのガス流速の数値がたまに出題されるので、できれば数値を覚えておくとよいと思います(頻出ではないので、後回しでも構いません)。

  • 固定層燃焼  :0.8~1.5 m/s
  • 気泡流動層燃焼:1~2 m/s
  • 循環流動層燃焼:4~8 m/s
  • 微粉炭燃焼  :10~15 m/s

よって、循環流動層燃焼は気泡流動層燃焼よりもガス流速が大きいです。

(5)も正しいですが、これはマニアックな内容なので気にしなくていいと思います。

以上から、正解は(1)となります。

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