R5年 水質有害物質特論 問1 問題と解説

 問 題     

共沈法では、共存重金属の存在下で起こる共沈現象を利用するが、その反応機構の説明として最も不適切なものはどれか。

  1. ある物質が他の物質をそれ自身の内部に包み込む現象である吸蔵
  2. 重金属水酸化物の表面電荷に起因する吸着
  3. キレート錯体の生成
  4. 異種の金属が架橋を形成する複合多核錯体の生成
  5. 難溶性塩の生成

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

共沈法は、極性の高い複数のもの(金属類など)を結合させて難溶性塩にして沈殿除去するという排水処理方法です。しかし、実際には難溶性塩を形成するだけが共沈現象の全てではなく、複合的な要素が合わさって共存重金属同士が共沈すると考えられています。

以上を踏まえて選択肢を見ると、これだけでは選択肢(5)が答えから外れるだけで、まだ4つも残ってしまいます。ですが、本問は頻出テーマではないため、ここからは知識ではなく考えることで正解の選択肢を選んでいきたいと思います。

まず、問題文に「共存重金属の存在下で起こる共沈現象」とある通り、共沈法は複数の金属類(金属イオンや金属化合物含む)同士の相互作用によるものです。つまり、各選択肢に書かれていることは金属と金属との相互作用であるべきです。

ここで(1)、(2)、(4)はいずれも金属と金属との相互作用といえるものですが、(3)のキレート錯体の生成だけは、有機化合物(非金属)と金属との組合せになってしまっています。

よって、(3)が不適切なので、これが正解だと判断することができます。

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