R5年 汚水処理特論 問13 問題と解説

 問 題     

下記の排水を活性汚泥法により処理するとき、不足しているりんをりん酸溶液で補給するとすれば、その必要量(kg/日)はいくらか。

ただし、りん酸溶液のりん含有率は20%(質量パーセント濃度)とし、活性汚泥法の栄養必要条件は、質量比でBOD:N:P=100:5:1とする。

  • 排水量     1000m3/日
  • BOD濃度      400mg/L
  • 全窒素(N)濃度      20mg/L
  • 全りん(P)濃度        2mg/L
  1. 2
  2. 4
  3. 6
  4. 8
  5. 10

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

本問では、排水を処理するために補給すべきりん酸溶液の量が問われています。つまり、りんが不足している一方でBODや窒素は足りているということになります。そのため、解法の方向性は次のようになります。

  1. 既知のBOD濃度(または窒素濃度)と排水量から、BODの量(または窒素の量)を計算する
  2. 上記1.の結果と栄養必要条件の比から、排水処理に必要なりんの量を計算する
  3. 既知のりん濃度と排水量から、最初から排水に含まれているりんの量を計算する
  4. 必要なりんの量と排水に含まれるりんの量の差から、不足しているりんの量を計算する
  5. 不足しているりんの量に相当するりん酸溶液の量を計算する

以上の1.~5.の流れに従って解説をしていきます。

上記1.について、問題文でBOD濃度と排水量がわかっているため、BOD量は次の(1)式で表すことができます。

ちなみに、ここではBOD濃度の[mg/L]という単位をそのまま[g/m3]に変換して考えています。mgとgは1000倍、Lとm3も1000倍の関係なので、単位を変換しても数値は変わりません。

なお、本解説ではBODの値からりんの量を求めますが、窒素の値を使っても構いません。

上記2.について、活性汚泥法の栄養必要条件はBOD:P=100:1とわかっているので、(1)式で求めたBODの量を使えば、次に示す(2)式の通り排水処理に必要なりんの量を計算することができます。

上記3.について、問題文で排水中のりん濃度と排水量がわかっているため、最初から排水に含まれているりんの量を計算すると、次の(3)式のようになります。

上記4.について、(2)式で排水処理に必要なりんの量がわかり、(3)式で最初から排水に含まれているりんの量がわかりました。よって、その差し引きにより、不足しているりんの量を求めることができます。

上記5.について、以上で不足しているりんの量が2[kg/日]であるとわかりましたが、問われているのはりん酸溶液の量です。そこで、りん酸溶液のりん含有率が20%なので、2[kg/日]のりんに相当するりん酸溶液を次のように計算します。

以上から、補給すべきりん酸溶液の量は10[kg/日]となるので、正解は(5)です。

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