問 題
イオン交換に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 樹脂母体に結合している活性基がカルボキシ基(カルボキシル基)のものは強酸性陽イオン交換樹脂である。
- キレート樹脂は、微量の重金属を選択的に吸着するものである。
- 硬度成分で飽和した樹脂の再生に、塩化ナトリウム水溶液を用いることがある。
- 通常、イオン交換の対象となる原水は、イオン濃度が1000mg/L程度以下のものであり、高濃度のものは逆浸透法などを検討するほうがよい。
- イオン交換処理においては、通常、通水速度は見掛けの接触時間の逆数を意味する空間速度で表示される。
正解 (1)
解 説
(1)が誤りです。カルボキシ基(カルボキシル基)は弱酸性を示しますため、「強酸性陽イオン交換樹脂」ではなく「弱酸性陽イオン交換樹脂」となります。
これに関連して、試験に出題されやすいイオン交換樹脂の活性基を以下に列挙します。
- 強酸性陽イオン交換樹脂 :スルホン酸基
- 弱酸性陽イオン交換樹脂 :カルボキシ基(カルボキシル基)
- 強塩基性陰イオン交換樹脂:第四級アンモニウム基
- 弱塩基性陰イオン交換樹脂:第三級アミン、第二級アミン
(2)は正しいです。キレート樹脂と金属は、キレートを形成して強く結合するため、キレート樹脂は微量の重金属を選択的に吸着するといえます。
(3)も正しいです。イオン交換樹脂の再生には、強酸や強アルカリ、塩化ナトリウム(食塩)などの濃厚溶液が用いられます。
(4)も正しいです。イオン交換法は優れた処理方法ではありますが、コストが高いのが弱点です。よって、微量に含まれる重金属イオンなどを厳密に除きたいときなどにはその強みを発揮しますが、高濃度の原水をざっと処理するときなどは、低コストの電気透析法や逆浸透法のほうが有益です。
(5)も正しいです。ややマイナーな知識ですが、イオン交換処理における通水速度は、通常、流量[m3/h]を充塡樹脂量[m3]で除した空間速度[h-1]で表されます。
以上から、正解は(1)です。
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