問 題
大気境界層に関する記述中、ア~ウの( )の中に挿入すべき語句の組合せとして、正しいものはどれか。
高度1~2kmまでの大気層は、地表面の熱的影響や力学的影響を直接に受ける。天候が本曇りになると、昼間でも夜間でも、大気安定度は( ア )に近づき、( ア )境界層内では( イ )勾配によって乱流が作られる。
( ア )境界層の厚さは、一般に数百m以下であり、高さ方向の風速分布は( ウ )分布則やべき乗則で表される。
- ア イ ウ
- 安定 風速 対数
- 安定 温度 指数
- 中立 風速 対数
- 中立 温度 対数
- 中立 風速 指数
正解 (3)
解 説
( ア )に関して、パスキルの安定度分類と気象条件の関係は次のようになります。これは重要事項なのでぜひ押さえておきたいですが、詳しい解説を確認したい場合はR1年 問4の解説を参照してください。
- A:強不安定状態 (晴れ+日中+弱い風)
- B:並不安定状態 (晴れ+日中+中くらいの風)
- C:弱不安定状態 (晴れ+日中+強い風)
- D:中立状態 (本曇 または 晴れ+夜間+強い風)
- E:弱安定状態 (晴れ+夜間+中くらいの風)
- F:並安定状態 (晴れ+夜間+弱い風)
上記より、曇りの場合には無条件で安定度D(中立)になることがわかります。よって、( ア )には「中立」が入ります。
( イ )に関して、境界層を熱的に大別すると、混合層(不安定)、中立境界層(中立)、接地安定層(安定)の3つに分けることができます。
このうち、混合層が熱の勾配による自由対流であるのに対し、中立境界層は風速勾配による強制対流となるのが特徴的です。また、接地安定層は対流自体があまり起こりません。よって、( イ )には「風速」が入ります。
( ウ )に関して、中立境界層の風速の鉛直分布は、対数分布則やべき乗則で表すことができます。これは重要事項というほどではありませんが、この文章がそのまま出題されたことが過去に何度かあります。よって、( ウ )には「対数」が入ります。
以上から、( ア )は「中立」、( イ )は「風速」、( ウ )は「対数」となるので、正解は(3)です。
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