R5年 大規模水質特論 問4 問題と解説

 問 題     

海域における溶存酸素の動態と海洋生態系モデルにおける計算過程に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 溶存酸素の増加要因となり得るプロセスは、大気との交換のみである。
  2. 飽和酸素量は、水温と塩分から計算で求めることができる。
  3. 大気との酸素交換量は、再曝気係数と飽和酸素量の積で求めることができる。
  4. 亜硝酸体窒素の還元により、酸素が消費される。
  5. 硝酸体窒素の酸化により、酸素が消費される。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

(1)は誤りです。溶存酸素の増加要因としては、「大気との交換」のほか、「植物プランクトンの光合成による供給」が大きいです。

(2)は正しいです。飽和酸素量を計算で求めるために必要なのは、「水温」と「塩分」です。

(3)は誤りです。大気との酸素交換量(再曝気量)は、「再曝気係数と飽和酸素量の積」ではなく、溶存酸素量、飽和酸素量、再曝気係数の3つのパラメータを用いて以下の計算式で求めることができます。

  • D7大気との酸素交換量(再曝気量)
  • Ka再曝気係数
  • DOs飽和酸素量
  • DO:溶存酸素量

溶存酸素量、飽和酸素量、再曝気係数の3つのパラメータを用いることさえ知っていれば、上式そのものを覚えておく必要はないと思います。

(4)と(5)はともに誤りです。まず、酸素が消費されるのは「還元」ではなく「酸化」によるものです。また、無機窒素の酸化の流れとしては、アンモニアを酸化させることで亜硝酸となり、さらに亜硝酸が酸化されて硝酸が生成します。この酸化の過程において溶存酸素が消費されます。

よって、(4)は「還元」が誤りで、正しくは「酸化」となります。また、(5)の記述のように硝酸体窒素がさらに酸化されることはありません。

以上から、正解は(2)となります。

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