R4年 大気有害物質特論 問9 問題と解説

 問 題     

JISによる排ガス中の塩素分析方法を、定量範囲の下限の小さい順に並べたとき、正しいものはどれか。

  • IC法:イオンクロマトグラフ法
  • PCP吸光光度法:4-ピリジンカルボン酸‒ピラゾロン吸光光度法
  • ABTS吸光光度法:2,2′-アジノビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)吸光光度法
  1. IC法       < PCP吸光光度法    < ABTS吸光光度法
  2. IC法               < ABTS吸光光度法  < PCP吸光光度法
  3. ABTS吸光光度法   < IC法         < PCP吸光光度法
  4. PCP吸光光度法  <  ABTS吸光光度法    < IC法
  5. ABTS吸光光度法   < PCP吸光光度法    < IC法

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

排ガス中の塩素分析方法には、本問にも明示されている以下の3種類があります。

  1. ABTS法(2,2′-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)吸光光度法)
  2. PCP法(4-ピリジンカルボン酸-ピラゾロン吸光光度法)
  3. IC法(イオンクロマトグラフ法)

塩素分析方法の3種類の中では、イオンクロマトグラフ法よりも吸光光度法のほうが微量分析に向いています。つまり、イオンクロマトグラフ法が最も定量下限の大きい位置にある(4)か(5)が正解となります。

ここで2つの吸光光度法を比較すると、2,2′-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)吸光光度法のほうが定量下限値が低く、微量分析を得意としています。ただし、この分析法はNO2が妨害物質となるので、NO2を含むガスには適用できません。

ちなみに、4-ピリジンカルボン酸‒ピラゾロン吸光光度法とイオンクロマトグラフ法はどちらも、NO2が共存していても影響を受けず、塩素分析を正しく行うことができます。

以上から、定量下限は「ABTS吸光光度法  < PCP吸光光度法 < IC法」となるので、(5)が正解です。

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