R4年 大気有害物質特論 問8 問題と解説

 問 題     

JISによる排ガス中のふっ素化合物分析方法に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 吸収液には水酸化ナトリウム溶液を用いる。
  2. アルミニウム(Ⅲ)の共存が影響を及ぼす場合は、水蒸気蒸留操作によってふっ化物イオンを分離する。
  3. 定量範囲の下限が最も大きいのは、ランタン-アリザリンコンプレキソン吸光光度法である。
  4. イオン電極法では、イオン強度調整用緩衝液を用いる。
  5. イオンクロマトグラフ法では、吸収液に陽イオン交換樹脂を加える操作がある。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

この問題の正解は(3)ですが、これはマイナーな知識だといえます。一方で、他の選択肢は重要事項として押さえておきたい内容なので、この問題は消去法で正解できればよいと思います。

まず、ふっ素及びその化合物の検定方法として定められているのは、以下の4つです。選択肢(1)と(2)については、これらの全ての方法に当てはまる記述であると考えてください。

  • ランタン-アリザリンコンプレキソン吸光光度法
  • イオン電極法
  • 流れ分析法
  • イオンクロマトグラフ法

(1)は正しいです。排ガス中のふっ素化合物分析では、どの方法でも吸収液として水酸化ナトリウム溶液を使います。これは本当によく出題される最重要事項です。

(2)も正しいです。妨害物質(Al3+、Fe3+)による影響が大きいと考えられる場合は、水蒸気蒸留操作によってふっ化物イオンを分離してから定量を行います。ちなみに、妨害物質の影響の大小は、濃度の極端に異なる2種類のイオン強度調整用緩衝液を用いて判定します。

(3)が誤りです。定量範囲の下限が最も大きい(=微量分析に向いてない)のは、イオン電極法です。しかし、解説の冒頭で書いたように定量下限の大小比較はマイナーな知識なので、あまり気にしなくていいと思います。

(4)は正しいです。イオン電極法では、分析用試料溶液にイオン強度調整用緩衝液を加え、ふっ化物イオン電極と参照電極を浸して、電位を測定します。

(5)も正しいです。イオンクロマトグラフ法は、吸収液に陽イオン交換樹脂を加え、空気を通気して前処理を行います。その後、イオンクロマトグラフに導入することで測定します。

以上から、正解は(3)となります。

コメント