R4年 水質有害物質特論 問15 問題と解説

 問 題     

塩素化炭化水素及びベンゼンの検定法に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 試料を採取するときは、泡立てないように採取し、気泡が残らないように満水にして密栓する。
  2. 試験は試料採取後、直ちに行う。直ちに行えない場合には、-20℃で凍結保存する。
  3. ガスクロマトグラフ質量分析を適用する場合は、内標準物質が用いられる。
  4. パージ・トラップ-ガスクロマトグラフ質量分析法では、試料にパージガスを通じて、塩素化炭化水素及びベンゼンをトラップ管に捕集する。
  5. ヘッドスペース-ガスクロマトグラフ質量分析法では、試料をバイアル中で気液平衡状態とした後、気相の一定量を分析装置に注入する。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

(1)は正しいです。採取時に泡立てると測定対象となる物質が揮発して測定誤差につながります。また、気泡を残してしまった場合も同様で、分析前に容器を開封した際にガス化した測定対象が抜けていってしまいます。

(2)の前半は正しいですが、後半の温度が誤りです。塩素化炭化水素・ベンゼンの保存条件は「4℃以下(凍結させない)の暗所」です。ちなみに、類題として出題されやすい1,4-ジオキサンについても同様の保存条件なので、併せて押さえておいてください。

そもそも、この試験において保存条件が「凍結保存」になるものはありません。物質によって「常温」、「0~10℃の暗所」、「4℃以下(凍結させない)の暗所」など様々ですが、「凍結保存」と書かれていれば物質に関係なく誤った文章だと判断して大丈夫です。

(3)はマイナーな知識ですが、正しい記述です。ガスクロマトグラフ質量分析の内標準物質として、フルオロベンゼンがよく用いられます。

(4)と(5)はどちらも塩素化炭化水素・ベンゼンの主要な検定法で、正しい内容が書かれています。記述の内容はやや深い知識の話なので、その正誤を判断できなくても仕方ないと思いますが、検定法の名称はよく出題されているので、ぜひ押さえておくことをお勧めします。

以上から、正解は(2)となります。

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