R4年 水質有害物質特論 問5 問題と解説

 問 題     

セレン排水の処理に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. セレンは難溶性塩を生成しないため、重金属の中でも処理が難しい。
  2. 吸着処理において、活性炭の吸着効果は認められないが、活性アルミナはセレン(Ⅳ)を吸着する効果が認められる。
  3. 溶解性セレンは、セレン(Ⅳ)とセレン(Ⅵ)とであるが、セレン(Ⅳ)には水酸化鉄(Ⅲ)による共沈処理が有効である。
  4. 共沈処理ではpHの影響は大きく、中性からアルカリ性にかけて90%の除去が可能である。
  5. セレンがイオンとして存在すれば、セレン(Ⅳ)もセレン(Ⅵ)もイオン交換法で処理できる。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

(1)はセレンの基本的な性質が書かれています。記述の通り、セレンは難溶性塩を生成しないため、その排水処理が困難です。よって、(1)は正しいです。

(2)、(3)、(4)に関して、溶解性セレンにはセレン(Ⅳ)とセレン(Ⅵ)の2種類がありますが、このうちセレン(Ⅵ)は特に処理が難しいです。たとえば(2)の「活性アルミナによる吸着法」や(3)と(4)の「共沈法」は、セレン(Ⅳ)には有効ですが、セレン(Ⅵ)には効果が期待できません。

ちなみに(2)にある「活性炭による吸着法」はセレン(Ⅳ)にもセレン(Ⅵ)にも使えないので、(2)の記述は正しいです。また、上記の通り(3)も正しいです。

(4)では、共沈処理は上記の通りセレン(Ⅳ)で有効な方法で、中性から弱酸性にかけて除去効果が高くなります。よって、(4)の「中性からアルカリ性」が誤りで、これを「中性から弱酸性」に直せば正しい文章となります。

(5)で、イオン交換法はイオンの形をとっていれば分離することが可能なので、セレン(Ⅳ)とセレン(Ⅵ)の両方に有効な処理方法です。セレン(Ⅵ)は重金属の中でも特に処理が難しいものの一つですが、イオン交換法が使えるというのは重要事項として押さえておきたい知識です。よって、(5)は正しいです。

以上から、正解は(4)となります。

コメント