R4年 公害総論 問11 問題と解説

 問 題     

土壌汚染及び地盤沈下の現状に関する記述として、誤っているものはどれか(環境省:令和3年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書による)。

  1. 2019(令和元)年度における土壌汚染の調査事例件数の40%弱で、土壌環境基準等を超過する汚染が認められた。
  2. 土壌汚染が判明した事例では、ふっ素、鉛、ひ素等による汚染が多い。
  3. 土壌汚染の超過事例件数は、この10年間で半減している。
  4. 東京都区部、大阪市、名古屋市等では、地盤沈下は沈静化の傾向をたどっている。
  5. 消融雪地下水採取地、水溶性天然ガス溶存地下水採取地など、一部地域では依然として地盤沈下が発生している。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

この設問では、出題傾向からいえば選択肢(1)、(4)、(5)が見慣れない文章に感じるかもしれません。しかし、比較的頻出事項といえる(2)、(3)のうちの(3)が正解の選択肢なので、消去法ではなく直接(3)を選べるようにしておきたいところです。

(1)は正しいです。2019年度の土壌汚染の調査事例2505件のうち、非超過事例が1569件、超過事例が936件となっています。この年に限らず、近年は非超過事例のほうが多くなっています。

(2)も正しいです。土壌に関する主な基準超過項目は、いずれの年も「鉛」、「ふっ素」、「ひ素」の3項目です。これは重要事項として押さえておきたい知識です。

(3)が誤りです。土壌汚染の超過事例件数は年によって多少の増減があるものの、900件程度で概ね横ばいの傾向が続いています。そのため、少なくとも「この10年間で半減している」という表現は誤りだと判断できます。

(4)は正しいです。ここで書かれている東京都区部・大阪市・名古屋市というのは、かつては地盤沈下が著しかった地域です。しかし、その後に行った地下水採取規制などの対策により、今では沈静化の傾向が見られています。

(5)も正しいです。(4)のように地盤沈下が改善している地域がある一方で、消融雪地下水採取地や水溶性天然ガス溶存地下水採取地などでは、依然として地盤沈下の発生が見られます。

以上から、正解は(3)となります。

コメント