R3年 ばいじん・粉じん特論 問6 問題と解説

 問 題     

障害物形式の集じん装置の捕集に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 粒子径が大きいほど、重力による分離速度は大きくなる。
  2. ストークス数が大きいほど、慣性力による捕集効率は小さくなる。
  3. 粒子径が0.1μm以下のダストでは、一般に拡散作用による分離が支配的である。
  4. 捕集体の寸法に対する粒子径の比が大きいほど、遮りによる捕集効率は大きくなる。
  5. 遮りによる捕集は、ガス速度が小さいときに効果的である。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

この問題は、障害物形式の集じん装置の集じん率ηを表す式を知っていれば選択肢の文章と式を見比べることで正解を導くことができます。しかし、この式を覚えている受験者の方は少ないと思うので、ここでは選択肢の文章だけから考察していく解法で説明を行います。

なお、式を使って解きたいという方は、R2年 ばいじん・粉じん特論 問6を参考に考えてみてください。

(1)で、一定の密度のものとして考えれば、粒子が大きい分それだけ重いので、重力によって速やかに分離できると考えられます。よって、(1)は正しいです。

(2)で、ストークス数は粒子の沈降速度に関わるパラメータです。ストークス数が大きいほど沈降速度が速くなるので、捕集効率は大きくなります。よって、(2)の「小さくなる」が誤りで、ここを「大きくなる」に変えれば正しい文章となります。

(3)で、粒子径が0.1μm以下のダストでは、(1)の重力や(2)の慣性力の影響よりも、拡散作用によって分離されていきます。よって、(3)の文章は正しいです。

(4)で、遮りによる捕集は、ダストと捕集体が接触することが何より重要です。ダストの粒子径が大きければそれだけ接触機会は増えるので、遮りによる捕集効率は上がります。よって、(4)も正しいです。

(5)は(4)と同じく遮りによる捕集についての文章です。

粘着テープ(捕集体)に、極小で軽いボール(ダスト)がぶつかる様子を想像するとわかりやすいかもしれませんが、ゆっくり当たるとくっつきやすく、激しく当たると素通りしやすいです。よって、ガス速度が小さいと捕集しやすいという(5)の記述は正しいと判断できます。

以上から、正解は(2)となります。

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