R2年 水質有害物質特論 問5 問題と解説

 問 題     

クロム(Ⅵ)排水の処理に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 亜硫酸塩還元法では、pHを10~11として亜硫酸塩を添加し、クロム(Ⅲ)に還元した後に沈殿除去する。
  2. 亜硫酸塩還元法では、亜硫酸水素ナトリウムを過剰添加すると、水酸化クロム(Ⅲ)の分散が起こり処理不良となる。
  3. 亜硫酸塩還元法で、少過剰の亜硫酸塩が沈殿槽、処理水槽に存在する場合、クロム(Ⅲ)からクロム(Ⅵ)への再生反応が起こる場合がある。
  4. 鉄(Ⅱ)塩還元法では、強酸性から強アルカリ性の広い範囲でのクロム(Ⅵ)の還元が可能である。
  5. 有価物質の回収、使用水の回収再利用などを考慮して、強塩基性陰イオン交換樹脂を用いたイオン交換法を適用することがある。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

(1)に関して、亜硫酸塩還元法は、亜硫酸塩(NaHSO3など)を使って有害なクロム(Ⅵ)をより無害なクロム(Ⅲ)に還元する処理方法です。

この反応はpH2~2.5程度の酸性条件下で行われます。その理由は、クロム(Ⅵ)は酸性下では水に溶けてイオン化しているため、亜硫酸塩と反応させやすいためです。

反応によって生成するクロム(Ⅲ)もやはり酸性下では水に溶けやすいので、反応後は中性や塩基性にして水酸化クロム(Ⅲ)として沈殿除去します。

よって、(1)のpH値「10~11」が誤りであり、正しくは「2~2.5」となります。正確な数値を覚えていなくても構いませんが、上記の理由により、酸性にしなければいけないことは押さえておいてください。

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