R2年 汚水処理特論 問22 問題と解説

 問 題     

フェノール類の検定に関する記述中、下線を付した箇所のうち、誤っているものはどれか。

4-アミノアンチピリン吸光光度法では、前処理で(1)蒸留した試料を(2)pH4以下に調節し、これに4-アミノアンチピリン溶液と(3)ヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウム溶液を加えて、生成する(4)アンチピリン色素の吸光度を(5)波長510nm付近で測定する。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

「フェノール類は保存するときは弱酸、分析するときは弱塩基」というのは、重要事項としてぜひ押さえておきたい知識です。

これを知っていれば、今回は分析時の話なので、(2)の「pH4以下」がおかしい、とすぐに(2)が正解であると判断することができます。ちなみに、(2)の部分は正しくは「pH約10」となります。

分析するときにpH約10とするのは、フェノール類と4-アミノアンチピリンとが反応してできるアンチピリン色素が、pH約10において最も強く発色するためです。pHがずれると発色の強さが変わってしまうので、測定誤差につながります。

以上から、正解は(2)となります。

また、解説の冒頭に書いた「フェノール類は保存するときは弱酸、分析するときは弱塩基」のうち、前半部分はこの問題とは関係ありませんが、これも重要事項なのでここで説明しておきます。

フェノール類はその性質上、フェノール分解菌によって分解されたり、酸化剤・還元剤・アルカリの作用を受けやすかったりするため、試料採取ののち、すぐに分析を行うのが望ましいです。

しかし、すぐ分析できない場合は、上記の影響を最小限に抑えるため、試料にリン酸を加えてpHを約4にし、試料1Lにつき硫酸銅(Ⅱ)五水和物1gを加えてから、0~10℃の暗所に保存します(この操作を行ったあとでも、やはり早めに分析したほうが誤差が少なくて良いです)。

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