R1年 水質有害物質特論 問11 問題と解説

 問 題     

ガスクロマトグラフ法の検出器及び前処理法に関する記述の組合せとして、適切なものはどれか。

(検出器)
陽極、陰極、放射線源を備えている。放射線源からのβ線(電子線)がキャリヤーガスを電離し、両極間に微小電流が流れるが、ここに自由電子を捕獲する物質が入ってくると電流が減少し、検出される。

(前処理法)
試料をバイアルにとり、塩析剤を加え、上部に容器の容積の15~60%の空間が残るようにして密封する。十分に混合し、一定温度に静置して気液平衡の状態とし、気相の一部をGCカラムに注入する。

  • (検出器)  (前処理法)
  1. FID    パージ・トラップ法
  2. FID    ヘッドスペース法
  3. ECD   溶媒抽出法
  4. ECD   ヘッドスペース法
  5. FPD   パージ・トラップ法

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

ガスクロマトグラフに関して、覚えておきたい検出器と検出できる対象物質は、以下の5種類です。対象物質についてはこの問題とは関係ありませんが、類題だと問われることもあるので、覚えておくと便利です。

  • 熱伝導度検出器(TCD):大体何でも検出可能(ただし、感度はほかの検出器よりも低め)
  • 水素炎イオン化検出器(FID):普通の(塩素を含まない)有機化合物(例:ベンゼン)
  • 電子捕獲検出器(ECD):アルキル水銀、塩素化炭化水素(塩素以外のハロゲンでも可)
  • 炎光光度検出器(FPD):硫黄化合物、りん化合物
  • 熱イオン化検出器(TID):窒素化合物、りん化合物

よって、問題文の検出器の説明に「自由電子を捕獲する」とあるので、電子捕獲検出器(ECD)が当てはまります。

続いて、覚えておきたい前処理法は、以下の4種類です。

  • パージ・トラップ法
  • ヘッドスペース法
  • 溶媒抽出法
  • 固相抽出法

これらの細かい仕組みまでは覚えなくても構いませんが、名称くらいは知っておきたいところです。

名称さえ覚えておけば、問題文の前処理法の説明にある「上部に容器の~空間が残る」という箇所から、これはヘッドスペース法の説明文であると判断することができます。

以上から、正解は(4)となります。

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