R1年 水質有害物質特論 問10 問題と解説

 問 題     

1,4‒ジオキサン排水の処理に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 1,4‒ジオキサンは、疎水性が高く、沸点も水に近い。
  2. 1,4‒ジオキサンの水からの分離は難しい。
  3. 凝集沈殿や活性炭吸着では除去が困難である。
  4. 活性汚泥法では処理困難とされてきたが、1,4‒ジオキサン分解菌を用いた除去技術の開発が進んでいる。
  5. 強力な酸化作用を持つオゾン酸化、促進酸化などの分解法の開発が進んでいる。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

1,4‒ジオキサンは次に示す構造をしている、六員環のエーテルです。

多くの化合物と同様に有機溶媒に溶けやすいですが、一方で、低分子ながら酸素原子を2つ有しているので、水分子の水素原子との水素結合を形成するため、水にも溶けやすいです。

よって、(1)の「疎水性が高く」が誤りで、1,4‒ジオキサンは水と任意の割合で混ぜられるほど親水性です。

ちなみに、沸点は101℃なので、「沸点も水に近い」というのは正しいです。これも水素結合の影響で、本来分子量から考えられる沸点よりもかなり高い値となっています。

なお、この問題の難易度は高くありませんが、もし難しかったとしても、(1)の「疎水性が高く」と(2)の「水からの分離は難しい」が矛盾することには気づいてほしいです。疎水性が高いなら、水と油のようにはっきりと水面が分かれて、分離しやすいはずだからです。

このように考えることができれば、少なくとも(1)と(2)のどちらかが間違いであると判断できるので、2択までに絞ることができます。

この試験ではこのように選択肢同士に矛盾が見られることが結構あります。そのため、もし全然わからない問題が出題されても、完全に5択の運任せにするのではなく、選択肢同士の比較・検討を試みるとよいと思います。

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