H30年 汚水処理特論 問18 問題と解説

生物的脱りん法を用いた有機物とりんを除去する活性汚泥法のフローとして、正しいものはどれか。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

選択肢を見ると、嫌気槽・無酸素槽・好気槽の3つがあります。3つの槽が並んでいる場合にはこれら3種類の槽の使い分けが必要になってきますが、この問題のように2つの槽が並ぶ場合には、嫌気槽と好気槽についてだけ考えればよく、無酸素槽は使われません。よって、(3)と(5)は不適です。

また、好気槽と嫌気槽の順番は、嫌気槽→好気槽の順番です。嫌気槽には一切の酸素分子を入れたくないので、一番上流に嫌気槽を置くことになります。もし好気槽を先に置いてしまうと、酸素分子が汚水と一緒に下流まで運ばれてしまうため、嫌気槽が嫌気にならなくなってしまうからです。よって、(4)も不適です。

よって、順番としては、上流から嫌気槽、好気槽と並べることになります。また、それぞれの槽でどのような働きをしているかというと、嫌気槽では細菌に取り込まれたりんが水中に溶け出します。一方、好気槽では反対に細菌がりんを取り込んで活性汚泥となります。

その後、沈殿池にて沈んだ汚泥を返送汚泥としてスタート地点(嫌気槽の手前)に戻し、再び嫌気槽でりんを放出、そして好気槽でりんを蓄積…と繰り返すことで、(一見意味がないように思えますが、実は)段々と活性汚泥中のりん濃度が濃くなっていきます。

そして、充分に濃くなった活性汚泥を余剰汚泥(各選択肢の右下)として引き抜けば、系外にりんを排出できます。よって、選択肢(1)と(2)のうち返送汚泥の正しい場所は(1)となるので、これが正解になります。

なお、冒頭で話題に挙げた無酸素槽について、これはりんと一緒に窒素も除去したい場合に必要となる槽です。

窒素とりんの同時除去の際には嫌気槽・無酸素槽・好気槽の3つをこの順番に並べます。役割としては、嫌気槽と好気槽はこの問題と同様、それぞれりんの放出と取り込みが行われます。残る無酸素槽にて窒素の除去(脱窒素)を行います。

これも類題として重要な内容になるので、この問題と併せてH29年の問17を確認しておいてください。

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