H30年 大規模大気特論 問9解説

ごみ焼却の際に発生する有害物質などに関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. ばいじんの大部分は、完全に燃え切らずに残った未燃炭素である。
  2. 紙類やたんぱく質系厨芥類(ちゅうかいるい)を焼却すると、硫黄酸化物が発生する。
  3. 塩素系プラスチックを焼却すると、塩化水素が発生する。
  4. サーマルNOxは、燃焼の際の高温雰囲気の中で窒素と酸素が反応して生成する。
  5. ごみに含まれる窒素分が燃焼して、フューエルNOxが生成する。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

(1)が誤りですが、これは知識問題として捉えるとややマイナーです。だからといって難しい問題というわけではありません。

ごみ焼却は高温(800℃以上)でごみを燃やしているため、そんなに多くの燃え残りが生じるとは考えにくいです。そのため、未燃炭素をばいじんの主成分とするのは現実的ではありません。実際には、ばいじんの主成分はケイ素やナトリウム、カルシウムなどの無機物です。これらは燃えないため、高温処理後でも残って、ばいじんとなります。

(2)と(3)は硫黄や塩素が含まれているものを燃やしているため、それぞれ硫黄酸化物と塩化水素が発生します。

(4)と(5)は正しい記述ですが、サーマルNOxとフューエルNOxの区別は重要です。これを反対にして誤った選択肢にするパターンも多いので注意してください。空気中の窒素が由来で生じるNOxがサーマルNOx、燃料(この問題の場合はごみのこと)が由来となって生じるNOxがフューエルNOxです。

コメント