H29年 大気概論 問8 問題と解説

ハロカーボン類の大気中濃度の経年変化を示す図中にある(ア)~(ウ)の中に挿入すべき化合物の組合せとして、正しいものはどれか。

   (ア)     (イ)    (ウ)

  1. HCFC‒22  CFC‒11   CFC‒12
  2. CFC‒12   CFC‒11   HCFC‒22
  3. CFC‒12   HCFC‒22  CFC‒11
  4. HCFC‒22  CFC‒12   CFC‒11
  5. CFC‒11   HCFC‒22  CFC‒12

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

まず、問題文にある「ハロカーボン類」について説明しておきます。これは「フロン類」とほぼ同じ意味で使えると考えて構いません。

厳密にいえば、クロロフルオロカーボン(CFC)のことをフロン類といい、これはその名前からもわかる通り、炭素とふっ素と塩素で構成されます。一方、これらに水素も含んだハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)や塩素が含まれないフルオロカーボン(FC)、臭素を含んだハロンなども合わせた総称が、ハロカーボン類となります。

いずれにしても、これらの多くがオゾン層を破壊する物質であったり、温室効果ガスであったりするため、その使用の抑制が課題となっています。

選択肢には「CFC-11」、「CFC-12」、「HCFC-22」の3つがありますが、この問題のポイントは「CFC-11」と「CFC-12」の量や年代の違いではありません。もっと大きい枠組みとして、ハロカーボン類の大まかな歴史を把握していれば正解できるようになっています。

ハロカーボン類の先駆けは「CFC」で、冷蔵庫の冷媒として使われていました。性能が良いことはもちろん、既存の冷媒に比べて人体への悪影響も少なく好評で普及したのですが、のちにオゾン層破壊を引き起こすことがわかり、その製造が禁止されました。

その後に登場したのが、オゾン層を破壊する程度が比較的少ない、「HCFC」や「HFC」などの、いわゆる代替フロンと呼ばれるものです。しかし、これらはオゾン層を破壊しにくい一方で、温室効果が大きいため、地球温暖化の観点から使用が制限されつつあります。よって、今現在はさらなる代替品が求められている状況です。

ちなみに、使用が制限されてからも大気中の濃度が低下するまでには時間が掛かるので、今現在CFCの使用量は極端に少なくなりましたが、大気中の濃度はそれなりに残ってしまっています。

このような大まかな流れを把握した上で問題に戻ると、年代が先行している(ア)と(イ)には「CFC」が入り(-11か-12かはともかく)、(ウ)には「HCFC」が入ります。このことさえきちんと押さえておけば、あとは選択肢から、正解が(2)であると決めることができます。

このように、細かい知識を問うているように見える問題でも、重要事項さえ押さえておけば、選択肢が1つに絞られるというパターンも、この試験では結構よくあります。

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