製油所の排水処理に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- 排水中の油分は、重力分離によるAPIオイルセパレーターで1ppm以下に低減させる。
- 油分を含む雨水はオイルセパレーター処理を行うが、それ以外の雨水はガードベースンを経由して放流される。
- プロセス排水に含まれる硫化水素は排水ストリッパー処理を経由して、硫黄として回収される。
- 原油中に混入している水・海水はタンクで静置中に底部に分離沈降し定期的に排出されるが、油分が含まれるためオイルトラップで油を回収する。
- 排水中のフェノールは活性汚泥プロセスによって除去される。
正解 (1)
解 説
重力分離というのは、要するに水よりも油のほうが軽いから、自然に任せていれば油分が浮いてきて除去できる…というものです。APIオイルセパレーターというのは重力分離装置のひとつですが、さすがにこれだけで1ppm以下という低濃度まで処理することはできません。
そこで、実際にはオイルセパレーターの後段に活性汚泥プロセスを用意して、(5)にあるようにフェノールなどを除去するとともに、油分をほぼ完全に除去します。よって、(1)の「1ppm以下に低減させる」が誤りで、そこまで低減させるのは無理です。
製油所からのプロセス排水の処理フローを以下に示しますので、参考までに確認してください。
順序としては、最初に「油水分離」を行います。文字通り、油分と水分を分けます(ここでは大雑把に分離します)。次に「排水ストリッパー」です。ここでは揮発成分を気体に変えて、除去します。成分でいうと窒素分(アンモニア)と硫黄分(硫化水素)がここで取り除かれます。
その後、「オイルセパレーター」によって油を分離します。オイルセパレーターで大体の油分を除去できますが、ある程度は残ってしまうので、その後段で「活性汚泥」を使います。これにより、油分はほぼ除去できます。それから「急速ろ過」と「活性炭処理」にて、SS分などを処理します。
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