H28年 大気概論 問2 問題と解説

大気汚染防止法に定めるばい煙の排出基準に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. ばい煙に係る排出基準は、ばい煙発生施設において発生するばい煙について、環境省令で定める。
  2. いおう酸化物にあっては、いおう酸化物に係るばい煙発生施設において発生し、排出口から大気中に排出されるいおう酸化物の量について、政令で定める地域の区分ごとに排出口の高さに応じて定める許容限度とする。
  3. ばいじんにあっては、ばいじんに係るばい煙発生施設において発生し、排出口から大気中に排出される排出物に含まれるばいじんの量について、施設の種類及び規模ごとに定める許容限度とする。
  4. 有害物質にあっては、燃料その他の物の燃焼に伴い発生する有害物質で環境大臣が定めるもの(特定有害物質)に係るばい煙発生施設において発生し、排出口から大気中に排出される特定有害物質の量について、特定有害物質の種類ごとに排出口の高さに応じて定める許容限度とする。
  5. 有害物質にあっては、有害物質(特定有害物質を除く。)に係るばい煙発生施設において発生し、排出口から大気中に排出される排出物に含まれる有害物質の量について、有害物質の種類及び施設の規模ごとに定める許容限度とする。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

「大気汚染防止法」第3条(排出基準)では、ばい煙発生施設において発生するばい煙の排出基準を以下の4種類に分けて定めています。

  • いおう酸化物
  • ばいじん
  • 有害物質
  • 特定有害物質

いおう酸化物、ばいじん、特定有害物質についてはそれぞれ選択肢(2)、(3)、(4)の通りです。

有害物質については(5)が対応しますが、排出基準は「有害物質の種類及び施設の規模ごと」に定められるのではなく、正しくは「有害物質の種類及び施設の種類ごと」に定められています。

たとえば、亜鉛の製錬に用いる焙焼炉や焼結炉などはカドミウムの発生源になるので、有害物質のうちカドミウムについては排出基準が設定されることになりますが、同施設からふっ素が発生するとは考えにくいので、ふっ素については排出基準が設定されていません。

「施設の種類ごと」というのは、このように、施設の種類によって発生しやすい有害物質に当たりをつけ、その物質についてのみ排出基準を設けている、という意味合いになります。

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