H28年 水質概論 問10解説

水生生物の保全に係る水質環境基準に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 環境基準値は、内外の毒性評価に係る文献を参考に、専門家による総合的な検証を経て導出された。
  2. 環境基準項目は、現時点で全亜鉛、ノニルフェノール、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の3項目である。
  3. 要監視項目は、現時点でクロロホルム、トルエン、フタル酸ジエチルヘキシルの3項目である。
  4. 要監視項目の指針値は、海域と河川及び湖沼の水域別に定められている。
  5. 環境基準値は、水域の水温、産卵・繁殖又は幼稚仔の生育場等の水生生物の生息状況の適応性に応じた類型に分けて設定されている。

※ この問題は、試験当日は正解の選択肢が一つに限られていましたが、2021年現在は2つの選択肢が誤っています。

 

 

 

 

 

正解 (3) +今は(2)も該当

 解 説    

水生生物の保全に係る要監視項目は、以下の6項目が定められています。

  • クロロホルム
  • フェノール
  • ホルムアルデヒド
  • 4-t-オクチルフェノール
  • アニリン
  • 2,4-ジクロロフェノール

よって、(3)の記述が誤りであることがわかります。

ちなみに、要監視項目は環境基準項目の下位に位置するもので、人の健康や水生生物の生育に影響はあるけれども環境基準を定めるほど注意深く管理する必要はないような物質が選ばれています。

そのため、環境基準項目のほうが重要なのでこちらに指定されている物質は覚えておいたほうが良いと思いますが、要監視項目は全て覚えていなくても仕方ないと思います。そこで、この問題は以下のように消去法で解くことをおすすめします。

まず、(1)は基本的な事項で特におかしな点もないため、正しい記述です。

(2)は前述の通り、重要事項なのでぜひ押さえておいてください。水生生物の保全に係る環境基準項目は以下の4項目が定められています。

  • 全亜鉛
  • ノニルフェノール
  • 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩
  • 底層溶存酸素量

底層溶存酸素量は平成28年度に追加された項目なので、この問題が出題された当時は3項目であり、当時の扱いだと(2)は正しい選択肢となります。

(4)と(5)について、環境基準項目にしても要監視項目にしても、ある項目(全亜鉛とかクロロホルムとか)なら基準値はいくつと、1つの値に決まっているわけではありません。

(4)にあるように海域と河川と湖沼によって基準が異なる上、(5)にあるように海域の中でも水生生物の生息状況の適応性に応じてさらにいくつかの類型に分けて、それぞれの類型に対して基準値が設定されています。河川や湖沼についても同様に、いくつかの類型があり、それぞれで基準値が異なります。

よって、(4)も(5)も正しい記述である上、主語の「要監視項目の指針値は」と「環境基準値は」を取り替えたとしても、正しい記述として成り立ちます。

以上のように考えた結果、残る(3)が誤りであるという判断ができればよいと思います。

コメント

  1. 匿名 より:

    (2)の底層溶存酸素量ですが、2021年9月時点では、水生生物の保全に関する水質環境基準に追加されていない気がします。
    H28.3に底層溶存酸素量の項目が追加されたのは「水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準」と思われます。水生生物の保全の観点から追加されているようですが、「水生生物の保全に関する水質環境基準」には追加されていないのではないでしょうか。
    この辺り詳しくないので、改めてご確認いただけると幸いです。

    https://www.env.go.jp/press/102287.html

    解説がわかりやすく、とても助かっています。これからも貴サイトで勉強させていただきます。

    • (管理人) より:

      ご意見ありがとうございます。
      ご提示いただいたリンク先を確認しましたが、「水質汚濁に係る環境基準」の中に「生活環境の保全に関する環境基準」があって、さらにその中に「水生生物の保全に係る水質環境基準」があるという構成なので、底層溶存酸素量は水生生物の保全に係る環境基準項目に追加されたと解釈できると思います。
      実際、この試験においてはR1 公害総論 問11の選択肢(1)でそのように読み取れる出題があります。

    • 匿名 より:

      ご丁寧に返信いただきありがとうございます。
      確かにご指摘の通り、底層溶存酸素量が含まれると考えて良いようですね。

      私が使用していたTAC出版の「超速マスター」(第3版、2020年)には、「全亜鉛、ノニルフェノール、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩のみ」という記載が複数箇所あり、底層溶存酸素量を含まないものと考えておりました。
      (ちなみに、TAC出版HPに掲載されている正誤表にも本件の記載はありませんでした)

      貴サイトのわかりやすい解説のおかげで、先日の試験に合格できました。ありがとうございました。

  2. 令和3年の総論の問13 より:

    質問なのですが我が国の産業廃棄物の総排出量は約4億トン前後で推移しているという選択肢があります。しかし環境省推移をみてみると過去10年間4億トンを超えていませんし三億八千万前後と記憶していた為、選択したのですがこれはやはり間違いなのでしょうか?

  3. 何度もすみません より:

    ちなみに何年から何年におけると限定はされておりません。