H28年 水質概論 問9解説

農作物の主たる生育障害と水質汚濁物質との関係に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 有機物濃度が高いと土壌環境が嫌気的となり、根腐れや立ち枯れなどを起こす。
  2. 塩類濃度が高いと浸透圧が増加し、根に吸水阻害が起こる。
  3. ひ素濃度が高いと葉脈を残し黄変葉となり、さらに症状が進むと白葉化する。
  4. 酸性が強いと鉄欠乏などによるクロロシスが発生し、アルカリ性が強いと獅子尾状根などが発生する。
  5. 窒素濃度が高いと植物が過繁茂し、倒伏や結実障害を起こす。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

これはややマイナーな出題なので、捨て問題として扱ってしまって仕方ないと思います。ただし、基本的な知識を基に考えることで、確信は持てなくても正解にかなり近づくことはできると思われます。

(1)について、有機物濃度が高ければ有機物が酸化することで酸素を消費し、また、微生物が繁殖すれば呼吸によってやはり酸素を消費します。よって、この場合は土壌環境が嫌気的になるので、根腐れや立ち枯れにつながると考えられます。

(2)について、本来は根が土から水分を吸収しますが、塩分濃度が高い場合は塩類が水を吸ってしまうので、根は充分な吸水ができなくなります。

(3)について、これは知識問題ですが、高濃度のひ素は植物の生育を妨げます。具体的には(3)の記述にあるように、黄変ののち白葉化します。

(4)について、ここでは、鉄が酸性の水に溶けてアルカリ性の水には溶けないという知識が重要です。酸性条件下では鉄は溶けて鉄イオンとなるので、水に溶けた上で植物が根から鉄分を吸収することができます。一方、アルカリ性条件下では鉄は水酸化鉄として析出してしまうので、根が吸収する水には鉄分があまり含まれていません。

よって、鉄欠乏になるのは酸性が強いときではなく、アルカリ性が強いときであると考えることができます。つまり、(4)が誤った記述で、これを正しく直すなら「酸性」と「アルカリ性」を入れ替える必要があります。

(5)について、植物の生育にとって特に重要な3元素といえば、窒素、りん、カリウムです。よって、窒素濃度が高ければ植物はよく育つと考えられ、育ち過ぎれば(5)のような悪影響が出ると推測できます。

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