H26年 公害総論 問13 問題と解説

PRTR法に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 化学物質を管理し評価することを目的として、国際的に導入が勧告されたものである。
  2. 様々な排出源から排出又は移動される化学物質の量を、毎年登録させる制度である。
  3. 企業にとっては、排出量の削減や環境への配慮に対する評価手段として有効な制度である。
  4. 第1種指定化学物質及び第2種指定化学物質が、ある濃度基準以上に含まれる製品の製造・使用者に対し、安全データシートの作成を義務付けている。
  5. 環境中での検出状況、環境リスク評価結果等を踏まえて、第1種指定化学物質と第2種指定化学物質が指定されている。
この問題は出題ミスのため、正解となる選択肢が2つあります。

 

 

 

 

 

正解 (2), (4)

 解 説    

(4)の記述は概ね正しいのですが、「製品の製造・使用者」ではなく、「製品の製造・販売者」です。使用者が安全に化学物質を扱うための「安全データシート」なのに、それを使用者に作成させるというのはおかしいです。

また、選択肢(2)についても追加で正解の選択肢(誤った記述)となりました。正解として追加した理由は公表されていないため不明ですが、記述が厳密な意味で正確ではないためと考えられます。

PRTRは、Pollutant Release and Transfer Registerの略で、訳すと「化学物質排出移動量届出」です。よって、(2)の文章中の「登録」が誤りで、「届出」でなければいけません。英単語としてのRegisterには「登録」という意味があるのですが、日本語としては「登録」ではなく、あくまで「届出」の制度です。

さらに、文中の「様々な排出源から排出又は移動される化学物質の量」という記述は、法律の条文と照らしてみると、「様々な排出源から排出又は廃棄物として移動される化学物質の量」としたほうがより正確です。つまり、廃棄物としての移動であればPRTR法による届出が必要ですが、有価物として売却する場合の移動であれば届出の必要はないということです。

以上の2点において、(2)の選択肢も誤りであると考えられます。ただし、この問題ではあくまで選択肢(4)が明確に間違っている文章なので、これをきちんと選べることが大事だと思います。

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