H26年 大規模大気特論 問5 問題と解説

x軸を煙突から風下方向に、y軸をxと直角水平方向に、z軸を地面から鉛直上方にとったときの正規形プルーム拡散式の性質に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. x≧0、z≧0の任意の座標(x,y,z)における濃度が計算される。
  2. 式の中で、排出量Q、風速u及び有効煙突高さHeの値は、座標によって変化しない。
  3. 拡散幅σyとσzはいずれもxのみの関数であり、yやzによって変化しない。
  4. 濃度は排出量Qに比例し、風速uに反比例する。
  5. 地面での反射を考慮しても、しなくても、着地濃度は変化しない。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

正規形プルーム拡散式は以下の式で表すことができます。この式は重要(頻出)なので、可能であれば記憶しておくと便利です。

  • C:煙流中心軸直下の地上濃度 [ppm]
  • Q:汚染物質排出量 [m3/s]
  • u:風速 [m/s]
  • σy:水平拡散幅 [m]
  • σz:鉛直拡散幅 [m]
  • x:煙突から風下方向の距離 [m]
  • y:xと直角水平方向の距離 [m]
  • z:地面から鉛直上方の距離 [m]
  • He:有効煙突高さ [m]

(1)について、x≧0というのは、煙突よりも風下方向という意味で、z≧0というのは地面よりも上(地下ではない)という意味です。yは風向に対して横方向なので、正の値も負の値もとれます。任意のx, y, zさえ決めてしまえば、上式のほかの記号を定数と見なせるので、濃度Cが求められます。

(2)で、排出量や有効煙突高さについては排出源となっている工場がひとつなので、座標に関わらず決まった値となります。風速については実際には、座標によって風速が異なるのかもしれませんが、正規形プルーム拡散式という計算モデルの式においては風は一定方向(x軸方向)に一定速度で吹いているのを前提としていますので、やはり座標によって変化するものではありません。

(3)について、σyとσzは「拡散幅」なので、座標としてのyやzは関係なく、あくまでも煙源から風下方向にどのくらい離れているか、つまりxの値に依存します。

(4)は上式を見てもわかる通り、CはQに比例し、uに反比例します。

(5)について、正規形プルーム拡散式では、地面で完全反射をする(地面に吸着しない)ことが前提となっているモデルなのです。地面での反射を考えないのであれば、当然、その分拡散の濃度も変わりますし、着地濃度についても変化します。

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