H25年 汚水処理特論 問9 問題と解説

膜分離法に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 精密ろ過膜の細孔径は、分画試験において一定の阻止率を与える粒子サイズにより表される。
  2. 浸透圧は溶液の濃度が高いほど高くなる。
  3. ナノろ過法は低分子有機物などを除去対象とする。
  4. クロスフロー式プロセスは、膜透過水の一部を循環液として供給槽に戻す方式である。
  5. 多段式プロセスは、海水淡水化などに用いられる。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

膜分離プロセスには、代表的なものとして以下の3つがあります。

  • 全量ろ過式プロセス
  • クロスフロー式プロセス
  • 多段式プロセス

全量ろ過式プロセスとは、文字通り全量をろ過する方式です。循環などはせずに膜に通すだけなので、単純な構造となっています。

クロスフロー式プロセスは、供給槽から膜モジュール(膜のある装置)へ流入してきた供給水の一部を、循環液として供給槽に戻す方式です。こうすることで、膜が懸濁物質で閉塞してしまうのをやわらげる効果があります。

多段式プロセスは、全量ろ過式プロセスをいくつもつないだ方式です。段数を増やせば増やすほど水中の懸濁物質や塩分を除去できるので、海水の淡水化などの用途で用いられることが多いです。

以上から、(4)の「膜透過水の一部を循環液として供給槽に戻す」のうち、「膜透過水」の部分が誤りとなります。循環するのは膜を透過する(ろ過する)前の水なので、たとえば「供給水」などとするのが正しいです。

上記このことも結構大事ですが、この問題は、正しい記述であるほかの選択肢の内容も押さえておきたい知識だと思います。

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