H24年 汚水処理特論 問6 問題と解説

各種金属イオンの溶解度とpHの関係は下図のように表される。金属イオンを含む排水の処理に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 銅はpH4付近でほぼ完全に沈殿除去される。
  2. 鉄は両性金属である。
  3. アルミニウムはpH9~10でほぼ完全に沈殿除去される。
  4. 亜鉛はpH13付近でほぼ完全に沈殿除去される。
  5. 3価の鉄はpH4付近でほぼ完全に沈殿除去される。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

(1)について、「ほぼ完全に沈殿除去される」というのは溶解度が極端に低いということです(図の下端)。銅(Cu2+)の場合は直線と図の下端とがpH8.3くらいの場所でぶつかっているため、pH8.3あたりで完全に沈殿除去されます。

(2)で、両性金属といえば、アルミニウム、亜鉛、スズ、鉛です。俗にいう「ああ、すんなり」です。ちなみに、これ以外にクロムや水銀も両性金属です。これらが出題されることもあるので、併せて押さえておく必要があります。

(3)のアルミニウムは(2)で解説したように両性金属であり、図中にAl3+とH2AlO3の2種類の線があります。

つまり、酸性下ではAl3+になっていて、pH6に近づくにつれAl3+は水に溶けなくなっていくのですが、一方でpH4あたりからじわじわとH2AlO3の形で再溶解していくということです。

pH9~10の範囲を見ると、Al3+の形では存在しないといえますが、一方でH2AlO3のほうはかなり高い濃度であり、水にしっかり溶け込んでいます。よって、これではほぼ完全に沈殿除去されるとはいえないので、(3)は誤りです。

(4)の亜鉛も(3)のアルミニウムと同様、両性金属です。図を見るとZn2+とHZnO2の2種類があります。pH13付近ではZn2+の形では存在しないものの、HZnO2として再溶解していることが読み取れるので、これも誤りです。

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